第3話 安楽園

 安楽園は設立当初以来、人の出入りが絶えない。


 介護家族がいる人々は、家族と笑顔で来園し、安楽園内のカラオケ、遊園地、ブッフェ、ティールーム、温泉、映画館、触れ合い動物園、植物園、コンサートホールなどの会場で、3日以内で自由に過ごせる。


 そうして、家族で楽しい思い出作りをした後は、ロイヤルルームという豪華な造りの1室のフワフワなベッドに横たわり、家族に看取られながら、安楽死薬を本人の好きな飲み物に入れ、好きなタイミングで飲む。

 安楽死薬には、苦しむ事無く笑顔を浮かべるよう表情筋に働きかける効能も有る。


 家族がいない場合は、代理家族を依頼したり、それを望まない場合は、自分の見たい夢が見られる薬を処方し、その幸せな夢を見ながら笑顔で息を引き取る。


 長年の介護から解放された家族も本人も心が軽くなり、日本全体にプラスのエネルギーが上昇している。

 そうなると、見下ろさずとも、そのエネルギーがダイレクトに神様へと伝わった。


「良きかな~。これで、憂慮していた1つは解決したが

 次、この杖を振るのは、いつになる事かのう?」


                《了》

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心の準備が出来た時に...... ゆりえる @yurieru

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