職業魔術師の父親に師事する14歳の少年が、己の魔術への適正のなさに悩みながらも、父のもとで幽霊退治の仕事を手伝う物語。
これぞ異能バトル! といった趣の現代ファンタジーです。
まさに王道というか定番というか、一時期の少年向けライトノベルの主流を彷彿とさせる作品。
王道の王道らしい強みというか、異能バトルものの「なんだかんだどうしたってワクワクしてしまう部分」を惜しみなく注ぎ込んだ、このエンタメ性の高さがとにかく魅力的です。
異能バトルものとしての味付けや演出、その徹底ぶりがとても好き。
【月】や幽霊など、緻密に練られた魔術師周りの設定に、外国語の格言(警句?)の引用の醸すケレン味。あるいはストーリー部分に目を向けるなら、偉大な父の背を追う姿や、中盤以降に明かされる主人公の秘密など。
王道や定番と呼ばれるものの魅力をしっかりと見せつけてくれる、サービス精神の旺盛さが素敵な作品でした。