チャンス到来!

ゆりえる

1. ガマンしかないのかな......

 何か月も前からずっと楽しみにしていた修学旅行。


 昨夜も興奮して眠れなかった。

 寝不足のせいか、気持ちがソワソワしているせいなのか、朝食も上手く喉を通らず、丸飲みみたいな感じで、やっと平らげた。

 そんな状態でバスで長距離揺られたせいか、何だか乗り物に酔ったようで昼食の時も少し気持ち悪かったけど、乗り物に乗ると、お腹が空きやすくなるからしっかり残さず食べた。

 夕食時も、クラスメイト達と夕食なんて楽しくて、お腹も空いていたし、旅館のお料理が美味しくて、気付くとたらふく食べていた。

 

 クラスの女子の半数が一緒の大部屋で、入浴後、トランプしていたら、何だか、お腹の中を空気が移動している。


 今日の食事は3食とも、落ち着かないで食べていたから、空気もいっぱい吸い込んでいたのかも。

 家だったら、ガマンしないで出すけど。

 せっかく皆で楽しくトランプしているところ、中座するのもイヤだし。

 トイレに行っても、ここのトイレ、流水音のスイッチ無かったし、誰かいたら聞かれてしまう。


 音出さないようにしたいけど、何だか、便座に座ってあの体勢すると、音が出やすいよね。

 寝る時、布団の中とかだったら、音が誤魔化せそうだけど、まだまだ時間が有るし、ガマンし続ける事が出来るかな?


  ......とその時


 運が私の味方をしてくれたのか?


 停電になった!


 暗闇の到来だ~、やった~!


「ぷーっ」


 えっ、私じゃない!


「ブリブリっ」

「ピー」

「ブブブ」

「ブー」

「プッ」


 なーんだ、みんなガマンしていたんだ!

 それじゃあ、遠慮なく、私も!


「ぷぅぅぅ」


 気持ち良く排出したのと同時に停電が解消し、皆の視線が私に集中した。


 ひえ~、タイミング悪かった~!


 でも、皆お相子だよね。


「あはははは」


 皆で大爆笑。


 そんなちょっと恥ずかしいような出来事も修学旅行のまたとない楽しい思い出となった。



   【 完 】



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