第3話 仇討ち

鳥沢輝が相我可憐を呼び出す

「あのさー、お前って霊感の方も確かなんだよなぁ?」

「いきなり呼び出してなんちゅー質問するのよ。場所変えるわよ」


可憐が連れてきたのは人気の少ない学校近所の図書館だった

テスト前には結構賑わうが普段はあまり使われてない感じだ

それでも机には何人かの人がいるので階段に適当に座った。

「ごめん、友達に退魔師って知られたくなかったの。

で?霊感もばっちし持ってるわよ。何か問題でも起きた?」

「そう、問題が起きちまって…


輝の話だと霊がでるという公園に友達5人ほどで肝試しに行ったらしい

そこで結局なにもなかったと思ったのだが

急に友達の言動がおかしくなり乱暴をしてくるので

輝が一発みぞおちに入れたら気を失ったが

目を覚ますとぼーっとして動かないらしい

母親が入って食事を食べさせようとしたが暴れて手がつけれなく

しまいには鍵が閉められてしまい入れなくなってしまった

そして欠病2日目食事も排泄もとらずに閉じこもってるという


「んー可能性は大だわね波長があっちゃって取り付かれたんだわ

霊っていうより悪霊にね」

「霊と悪霊何が違う?」

「霊なら昇天できる。

悪霊は消失しかない霊が一杯負の気質を吸い込むと悪霊になる」

霊はついても供養してほしいだけだけど (だが相手のエネルギーを吸ってる)

悪霊はそのものの命を狙っている取り込んでしまう気だ

とまでは心の中で言う

「今すぐ行こう。その人の家に準備あるけど手伝って」

まずは教会に行く

どこにでもある変哲もない教会だが

ここの神父は本物だ悪霊、悪魔退散をやってのける

そこで聖水を分けてもらって

鞄に入った障子紙で人型を作る本当は専用の紙もあるのだが…

まぁもってない取りに戻るのももどかしい

じい様のところまで行かなきゃだしね

っていうことで筆ぺんを取り出し封の字を書き込む4体


相手の家に上がり込む予備の鍵はないかと言えばあるそうで

ドアを壊すことはしなくてすみそうだ

鍵を開けると排泄物の匂いがする

当然だろう2日もなにも排泄が行われないわけがない

「臨兵闘者 皆陣列在前、4縛!!」

紙が飛んで行き肩とひざに張り付く

やっぱり悪霊になってる

「何処に居るんだ霊?」

「霊なんてかわいいもんじゃないわよ?私の肩に触れてみ?」

「なんじゃありゃ鬼婆よりもおっかねぇ

でたり入ったりしてる筋は何を意味してる?」

「あれは生きた魂。とりこまれながらも逃げようとしてる

逃げようとするとひきずりこまれるから…いったりきたりしてる」

「友達の魂もよ悪霊と肉体を行ったりきたりしてるわ」

「呪文唱えるからしばらく会話できなくなるからね」

そういうと可憐はベットの上に座り向き合って呪文を唱える

「ノーボータリツ ハラボリツ シャキンメイ シャキンメイ

タラサンダン カエンビイ ソワカ …」

10分もすると人が暴れようともがきだすが動けない

最初に貼り付けた紙のせいだ

さらに10分もすると静かになった

と思ったら可憐が急いで紙をだす

「臨兵闘者 皆陣列在前、守護!!」

「なんだよこの紙」

「とらないでたたられるわよ」

母親はそれで見た悪霊に卒倒した

慌てて輝が支えて座らす

さっきのまでとりついてた子に聖水を頭からかける

これで入ってこれないはず

「どうするんだよ部屋で渦巻いてる奴」

「消す、お経唱えるからしばらく黙っていて」

そういうと鞄から経典を取り出し唱え始める

もがき苦しみ離れようとしていた霊は次々と昇天していく

10分も唱えるとさっきまで悪鬼だった霊はすっかり力を失い

可憐に取り付こうとするがお経がそれを許さない

さらに10分疲れたように霊も動かなくなった

そこへ「臨兵闘者 皆陣列在前、離縛!」と唱えると

取り付かれた少年がベットに倒れ込む

「臨兵闘者 皆陣列在前、消失!」

霊はどこかに消えてしまった

「本人が望んでももう昇天できるレベルじゃなかったから

魂を四散させた。ようするに殺した。」

部屋はツンとした匂いがあるもののすでに悪霊はいなくなったので

まがまがしいほどの匂いはしない

ベットに小さなテレビとゲーム機漫画の本棚があって

所狭しと積み重なっている漫画雑誌と男性向けよう雑誌どこにでもある風景だ

取り付かれていた少年と母親を起こす

大まかな事情と霊は退散したことを告げる

「なんだよこれって自分のおもらしに大声あげて悪態つき

母親が慌てて風呂の準備をしにいった

「お前、度胸ためしで悪霊ついちゃって大変なことになってたんだぜ

早く着替えて風呂入れよ」

「悪い接客できる気分じゃないしそうするわ」


可憐と輝は家を後にした

「あんなのごろごろいるのか?」

「あそこまで悪質なのは少ないけど霊ならそこら中にいるよ

いちいち払ってたんじゃ身がもとないのでよく通る道だけは供養してるけどね

墓場はもちろんだけど大きな建物や交差点は居やすいわよ」

「で、ふん」と言って可憐が手をだす

「何なんか乗ってるの?」

「ちがーう。報酬。今日のは20万くだらないわよ」

「えー、金取るのかよ。もってねぇよ奉仕活動って言葉知ってる?」

「さいていでも私を含めて4人の命が危なかった

なにより私が親なしでどうやって生活してると思うのよ?」

「…退魔師?」

「だから今回の危険度と難易度なら20万が相場」

「考えてなかった分割できる?」

「クスクスいいよ値段の交渉なしにやったのは私だし」

「じゃあさ俺のおごりで1回デートってのはどう?」

「輝先輩は私のこのみじゃないんだけどなー」

「どんな男が好きなんだよ?」

「色白で今にもぶっ倒れそうで

しゃなりしゃなりとあるくような雛人形の殿方」

「本気かよ」

「まさか見ていると尻に蹴りいれたくなる

じゃあいっぱーい食べてやる。それでOK?」


結局週末を二人ですごすことにした。

朝一番に落ち合い午前中は図書館で勉強をみてもらい

しゅくだいがおわるとゲーセンで対戦をし

負けた腹いせにステーキ食べ放題に行って3皿平らげようとしたら

たべきれずに苦笑しながら輝がその3皿目をたべた

「なんか悔しいなぁ。輝先輩も2皿平らげてるのに食べれるんだ」

「あのなぁ、お前それでも女なんだぜ?

男より食べれなくっても当たり前なの。わかる?」

「3皿目頼まなかったのは私が食べれないこと見越して?」

「そそ。2皿目の最後スピードが落ちてたからな

3皿はむりだろうとは思ってた。

そうじゃなくても2皿で終わるつもりだったけどな」

「?どうして食べれるのに?」

輝にでこビンされた

「腹八分目って言葉覚えとけ。いざって時に動けんぞ」

映画を見て、でかい公園の芝生でゴロンと横になる

ん、悪くないこの芝生は寝ごごちを誘う


可憐はばさっと起き上がった

上着輝先輩のものか

キョロキョロする

すぐ隣にこっちを見上げる視線

「襲いたくなるぐらい無防備なのなお前って」

「冗談、そんなことされたらすぐ起きるわよ

それよりどれくらい寝てた? 」

「20分弱くらいか」

「奴がいる」

「奴って?」

「たしかネットワークでは暗黒伯爵いわれてる奴」

「うんたしか双子も一緒に居る」

「いってくる。」

「まぁ待て3:2じゃ分が悪い」

「でも事前に阻止しなきゃ

やっぱりいく」

可憐は走る

白虎!鎧となりて玄武!剣となり下山せよ!」

後を追いながら電話を輝はかけた母の元へ

魔法陣が見えるゆらゆらとなにかでてきている

それを確認したとたん

玄武の剣が土を割り魔法陣を切り裂き双子の下へ飛んでいく

双子は手をつなぎそれぞれ開いた手で玄武の衝撃波を受け止める

ちっやっぱり二人揃うと力の差が違う

奴が言う「また君か、ひどい目に一度会わないと懲りないみたいだね」

そういいながら手をふるう衝撃波玄武を持ち上げる形で衝撃を吸収する

もう一つの手で衝撃を送ってくるが慌てない持ち上げた剣をぐるぐる回し

避けきる双子の一人が何かを飛ばしてきたがそれは電撃の鞭で焼ききられた

そのまま鞭は二手に向かって自由になっている手を縛り上げた

その衝撃で一人女の子の方が倒れる「リラ!」

もうひとりの男の子が力比べよろしく鞭を引く鞭は空中で途切れた

と思った瞬間男の子は円を描いた紙を広げるとリラと呼ばれた女の子を連れ

円に飛び乗ったそのまま沈んで行ききえてしまう

そのやりとりをしている間に奴は可憐に向かい時差式の衝撃波を放つ

一個はまともにはじきかえしたがもう一個はまともにあたる

ズザザザッ!5メートルほど後ろに下がったがまともに受けたはずの可憐は

助走をつけて再び玄武の剣をふるう

手ぶらになった輝の鞭も向かっている

マントをバサリとかぶって消えようとしたところへ

可憐は地面に手を着き「光点!!」

大地が輝き地面の影を消す

「小娘、俺を本気で怒らす気か!!」

玄武をぐるりっと回しながら

「朱雀!守り手となりて下山せよ!」と叫ぶ

まともに相手の十字切りは玄武の剣に阻まれるが玄武がチリンと鳴って消える

そこへ朱雀が可憐を抱きかかえるようにかばう

まともに受けたが幾分玄武で弱まったのだろう朱雀は平気な顔をしてたっていた

「青龍!剣となって下山せよ!」

今度は玄武よりもさらにでかい剣が出現した

玄武は回せるが青龍は回すこともできない可憐にとっては攻撃1点の剣だ

それを斜めに振るう玄武でせりあがった土がさらに掘り下げられ

奴に向かって突き進むそれをさすがに両手で支えた奴は片手に4本両手に8本の

短剣をそらに放り投げると蝙蝠になったぶつかってくると切り傷ができた

慌てて朱雀がかばうが後ろから両手を上に向け「破邪!!」と叫ぶ

そうすると光がどんどん大きくなり蝙蝠は包まれただの剣になり落ちてくる

その瞬間を奴は見逃さなかったマントをバサリと消えるか否や

「ぎゃああああっっっ!!」断末魔の叫びが聞こえる

火炎姫が後ろから羽交い絞めしていた。

叫び声と燃える匂いとを残して奴は消えた


可憐はペタンと座り込んだ

かけよる輝

「大丈夫か?怪我ひどいのか?」

「怪我ひどいのは輝さんのほう早く手当てしなきゃ」

「ああ大丈夫だおふくろさんが来てくれてる」

そう言うと母の元にいき傷を治してもらってる輝

「ネットワークの人たちねありがとう。一人ならまた逃げられてたわ」

「後は双子だわ。奴が死んでどうでてくるか…」

「双子の事はどれくらい知ってるんだ?」と輝

可憐は2卵生の双子で男の子と女の子といっても自分より年上で

男の子はソル、女の子はリラ。召還師でそれぞれが結構レベルの高いこと

親は魔術師の大物だったけど双子に殺されてしまったこと

正確には殺してしまったことで苦痛の日々をすごすうちに奴に拾われたこと

今回の事で双子がどんな行動にでるか全く未知数なことを語った

この前居合わせた燈紫という子も実は年上だけど成長が止まっていることを

知らされ人間でもそんなことがあるのかと頭を抱えた可憐だった


ともかく奴が死んだことで可憐の目的は終わった

後は慌てず焦らず四力使いとして退魔師として成長するだけだ

双子がどうでるかは問題だが更正するならそれでよし

異世界から危険な生き物などを召還し続けるならば

また敵にまわることだろう


次の日ニュースで都市最大の公園の一角が何者かによって滅茶苦茶に

されているというニュースを見て舌を出しながら登校する可憐であった


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闇を追いかけて 御等野亜紀 @tamana1971

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