第2話 ネットワーク~人間と妖怪と力を持つこと

「おじぃちゃん。そろそろ妖怪退治の方法正式に教えてよ~」

「駄目じゃ駄目じゃ。今でも無理してるぐらいじゃ。

わしゃ孫にまで死なれたくない。あんな奴ほっとけ」

「そんな事言ってほっとけるわけないじゃん

相手は人間だよ。その人が悪いことしてるせいで沢山死んでるのに

それにわかっちゃうんだよ波動で

あっ奴が動いてるってじっとしてられないじゃん

両親の仇だし」

「だめじゃだめじゃワシの目が黒いうちは生きててもらいたいとおもっとる

相手が仇だろうと諦めなさい。それより写経じゃ久しぶりに来たんだ

しっかりやりなさい」

「ん、もう。はーい。可憐は写経しまーす」

それから黙々3時間字を写していた

「だーっ。もう駄目。飽きた写経って集中力いるんだもんやになっちゃう」

「半日はできるようにならんとな」

「臨兵闘者 皆陣列在前」

おじぃちゃんに向かって9字を切る可憐

おじぃちゃんは慌てもせず。両手をパシンっと合わせる

それで9字は消えた

「不意打ちも効かないぐらい強いくせに」

「当たり前じゃ言葉は言霊になる力を得やすいが

本来は自分の力を愚見化してるにすぎん

力を発するに言葉は必要ないわ」

「うーん。そんなこといわれてもなぁ」

可憐は集中を高めて「はっ!」と力を向けるが

すこし淡い光が現れただけで消えていく。



言霊の力は使役をするのに役立つ

朱雀や玄武を操れるのもそのおかげだ

両親が持ってた石は5つ朱雀と玄武、白虎に青龍、そして麒麟

炎と土、風に水、そして癒し…

奴の属性は闇…対抗するには光が一番だが光を使役する石はない

そもそも石はその力の一部を納めたものに過ぎない

力は意志を持って具現化するがそれは全てのものにとって違う

例えば朱雀

父の朱雀は男だった。母の朱雀はまだ子供のようだった

それが可憐の朱雀は成人した女性だ

同じ石を使っていても使い手によって波動がそこまで違う

光の石は神石だ

可憐の知る限りでは天使降臨しかしらないが

そんな石をどこでどう手に入れたらいいかも見当がつかない

だからおじいちゃんの言ってることはただしい

石を使っている限り奴には勝てないだろう

自分の力を光に転換して戦う必要がある

それができて初めて奴と対当に戦えるのだろう

考え込んでると頭にドスンとひじで叩かれた

「いたーい。おじいちゃん何するのよ」

「写経に飽きたなら宿題をせい」

「あーそうだった。今日沢山でてるんだー

深夜になっちゃうよおじいちゃん泊めて~」

「これから帰るとはおもっとらんわい

いつも通り節子の部屋を使うといい」

「はーい。」節子とは母の名前である

寺院で母は育った。巫女さんもやっていた

結婚して旦那が退治屋だったので退治屋になったのだ

石は父のもので母も駆使していたが

母はなくともある程度の力を使っていた

「まっ、先に宿題宿題っと寝れなくなっちゃう」

可憐は宿題にせいをだしはじめた成績はわるくない

写経も始のほうは空でかけるようになっているくらいだ




宿題が終わる頃にはどっぷり日が暮れて

早い夕食が

たたったのか

おなかが空いている

おじいちゃんの家に来るといつものことだ

朝も早い

とっとと寝てしまおうと可憐は決めて寝始めた

可憐が写経をし宿題をして寝るまで

おじぃちゃんは仏像に手を合わせ

可憐が無事に生きていけるように念仏を唱えてることを

可憐は知らなかった




「おはよーっ!!皆の諸君。今日の早朝ミーティングは

夏のスポーツ大会登録メンバーの振り分けと

文化祭の出し物の提案をいたしまーす」

「まずはスポーツ大会部活メンバーは1名と決まっているので

スポーツ部のメンバー先に選出しちゃおうか」

そんなんで可憐の一日がまたはじまった

まずは部活で強い人を1名選出して

スポーツ部のほかに得意なスポーツがあればそちらに振り分ける

その後文化部帰宅部の人にやったことあるスポーツ得意なスポーツなどを聞き

振り分けていくスポーツの苦手な子はある程度決まって強くなってるところを

削って入ってもらい削られた比較的運動のできる子を余っている運動に放り込む


文化祭は選挙方式

やりたいことを書いてもらって開いていく

結果和風喫茶と男装女装喫茶が多かったので

和風男装女装喫茶に決定

でもそれだと地味なので男子はひざ上まで着物をまくりあげ止めること

女子は袴をはくことに決めた

そしてお昼、今日は可憐の番

「これとそれとあれとあれ、それからそれもください!」

「お前いつも無茶元気なのな。呆れるぐらい遠慮も知らないし」

そう後ろから声かけられたのは鳥沢輝と言ったか1年上の先輩だ

妖怪ネットワークに属している人間で

なんでも妖怪が住むアパートを親が提供していると調べ上げた

まぁ難しいことじゃない

可憐の行動は迅速かつ単純だ

生徒会名簿を知り合いの伝で入手し

鳥沢輝の自宅にのりこんだらそこで管理人をしてたのが母親だった

ただそれだけでいくつか話し込んできただけだった

妖怪ネットワークというと敬遠してしまうが

行ってみた感じはごく普通のアパートで母親と話していても感じは悪くなかった

悪さをしている者もいないらしいし

特に退治屋のでる相手でもない感じなので胸をなでおろしたのだった

「欲しいパンを手に入れるのに遠慮してたら無くなるじゃん

ここはおばたりあん顔負けにがんばらないとと思わない?」

「思ってできる奴が何人いると思う?」

「ふむ。そー来たか。うちの昼飯メンバーじゃ私だけだな」

「俺の昼飯メンバーじゃ知り合う前から有名だったぜ?」

「1年女子の癖に遠慮もしないいけず女ってさ」

「いけずーって言われても、年が3つくらい違うだけで遠慮しろと言われてもな。

食事は元気な源ですからね」

頭をコツンと叩かれる

「元気すぎなんだよ」



「えー元気に過ぎることはないと思うけどなー。

あーこんにちは先輩方失礼しまーす」



「んじゃあね。鳥沢先輩」

「おう」

そうして可憐はいつものメンバーのところへ

「ねね、可憐。最近あの先輩とパン買ってくるとしゃべってるじゃん」

「告ったの?好きなの可憐?」

「告らんって、ただの特殊な知り合いでね」

「特殊って?」

「特殊は特殊なのだ。うちの家系の問題でねぇ話すとややこしいし

話しても理解してもらえるかどうか」

「えー友達じゃん。特殊とか抜きーっ。話してみなよ。」

可憐から笑みが消える。すーっと冷たい視線を4人に向ける

「話さなきゃ友達でいられないならここから立ち去る

どうせ話をしても同じ結果だから」

「可憐どうしたのそんな冷たい声も表情もはじめてみる」

可憐がため息をつく

笑顔を取り戻して

「ごめんごめん。でも過去の経験上話すとろくなことがないの

揉め事に巻き込みたくもないし今の関係崩したくもないしね」

「揉め事なの?可憐困ってるの?」

「困ってないよ。でも理解してくれる人はすんごく少ない生き方してる」

「生き方かぁ。学校行ってゲームして漫画読んで風呂入って食事して寝る

くらいの生き方しかしたことないなぁ」

「そういえば可憐はテレビの話も漫画の話もゲームの話も

ニコニコ聞いてるだけで入ってこないもんね」

「うん。そーゆのわかんないから聞いてるしかないんだわ」

「わかんないのかぁ。ごく普通だと思うけどな見れば面白いのに」

「見る暇があったらおじぃちゃんの家で写経してるし…ははは」

「そっかお家お寺だったもんね宗教の難しい何かとかあるのかな」

「まーそゆことにしといて。可憐からのお願い」




夜の夜中街中の人は普通でも慌しい

近くに繁華街があるせいもあるだろう

しかーし

そんな騒ぎと別で別の騒ぎがときどき起きる

離脱結界の効かない可憐には解ってしまう

妖魔がでてネットワークが対決しているのだ

相手があまりひどい悪さをする時は

可憐も依頼なしで動くが

何分一人で出来ていることはしれている

ネットワークに任せて自分は知らない不利だ

億劫とかめんどくさがりとかとは違う

ネットワークは生きて捕獲が基本なのに対して

可憐の仕事は言わば殺しだ

奴も人間の以上、ばれれば法的な処置をとられるだろう

審判員が妖怪だの人為を超えた力なぞを認めるわけないのだから

でもって人為を超えた力で何かをしたとしてもしないのと一緒になっちゃう

こちらは体張って命がけなのだが言い訳にもならんだろう

その事を承知してるからよぶんな狩りはしない

しかし今晩は胸騒ぎがする

可憐の悪い予感というのはほぼ当たる

重たい腰をあげて騒ぎのほうへむかうのだった


行く途中白い塊をいくつも目にする

蜘蛛の糸…

女郎蜘蛛か…

はしから朱雀で糸を切って人を助け出す

みんな気を失っているだけみたいだ

座らせてどんどん奥に進む

これは学校の方面

部活帰りだったのだろうしってる制服の人間が中にいる

「あっ、和美(かずみ)…」

そっと座らせておく

まだ胸騒ぎは消えない

残り部活をやっているとしたら華架(はなか)か

早く見つけなきゃ

女郎蜘蛛が餌をぐるぐるまきにするのは自分の食料以外に

子供の食料にするためでもある

まだ卵の入った蜘蛛の巣を見つけていない

それさへ始末してしまえば

女郎蜘蛛を倒せば勝手に糸は消える

だがはしからみつけて糸を切ってもいない

学校へ行く途中の公園に入っていく

離脱結界…人払いの結界が張られている

女郎蜘蛛はこん中か

そーっと入っていく

発見卵の入った糸これを切っておけば後は本体を倒すだけ

剣を振り上げて降ろそうとした瞬間

「そこな女動くんじゃないのよ。これが目に入らない?」

「華架!!」

よろよろと人を掻き分け近づいていく

「動くんじゃないといってるでしょう!引き裂くわよ」

可憐はへなへなと地面に座り込む

朱雀も石に戻す

斜め後ろから「あれお前と一緒に食事してた奴だよな」

知ってる声、顔だけ上を向いて確認すると鳥沢輝だ

「誰か一気に倒せる奴いないの?」

「波動が見えたらその場で首へし折られかね無いからな皆躊躇してる」

どうしよう可憐は迷う

いちかばちかだかこの姿勢からならば放てる術がある

ただ九字を切ったらばれるだろう

力だけ放てるだろうかいつも失敗してばかりだけど

今はそんな失敗もゆるされる状態じゃない

その間ネットワークの人間が説得を続けているか手を離すようすはない

喉をかききるまでもない片手で首の骨をへし折ればことたりるだろう

女郎蜘蛛の力は案外強いのだ

可憐は息を飲む失敗したら華架が死ぬ

知り合いが死ぬのは初めてではないが

その度に重たいものを背負っている気分になる

華架が目をさます

「ちょ何よこれ!きゃー何これ何これ化け物が一杯」

「騒ぐと殺すぞ!」と女郎蜘蛛

自分がつかまれてるのが何かわかるとよけいに暴れだす

華架は蜘蛛がきらいだ。好きな奴も少ないだろうけど

もう猶予がない


両手に力をいれ地面に念を貯めて行く

地面が盛り上がらないように慎重に慎重に念を貯めて

女郎蜘蛛の下に念を動かす

たぶんいける

そう思った瞬間

「もうこんな煩い女いらんわ!!」といいもう一つの手が

華架の心臓に突き刺さろうとした瞬間

パン!!!そんな音をたてて

女郎蜘蛛は下から上へ真っ二つに割れていた

女郎蜘蛛からの血を浴びて華架は気をうしなった

力を失った手から放たれて落ちそうになった華架を

凄い勢いで飛んで行ってキャッチした人がいる

「かずみさんナイス!!キャッチ」

「一体誰が倒したんだ」周りがざわめく中

可憐は立ち上がり「私よ」顔色が悪い力の急な使いすぎに体がついていってない

それを承知で立ち上がり卵巣のところに行く

朱雀の剣で切り裂いて人をだした後

「朱雀、卵を燃やして」

「承知いたしました」

燃えるのを確認してから

「終わったわよ。不本意かもしれないけど」

「まー説得して改心しそうな輩でもなかったし、いいだろう」

どこかのおじさんが言う。この前知り合った美穂さんに雄一郎と呼ばれていた

「後は記憶消去結界を貼れば終わりね」と美穂と言ってたひとがいう

「ちょっと待ってよ。記憶消すってそんなに簡単な問題じゃないでしょ?

私たち命かけて戦ってるんだよ。ないことにしちゃうって」

「いろいろ見られたし明日から一緒に食事ができなくなるぜ」と輝

「いいわよ。一人は慣れてる化け物扱いされるのは始めてじゃない

だけど真実隠したまんまじゃいつまでたっても距離が縮まらないじゃない

わかってくれる人みつからないまんまじゃない。私は平気よやましいこと

何もしてないんだもん。なのに何故?」

「いい加減にしろ!!」と輝が叫ぶ

「自分は平気、やましいことはない?じぶんのことばかり考えるな

お前や俺はいいさ力あるだけで人間だないものとして暮らせばいい

だけど妖怪たちはそうはいかないんだ。

存在するだけで退治以来が来るんだろう?

その存在をしられたままにしろって言うのか?

第一友達だってこの現状を目にして

記憶消さなきゃ気が触れるかもしれないんだぞ

誰でも平気なわけじゃないんだ。

だれでもうけいれられる状況じゃないんだ

ないことにして恐怖は記憶の彼方にやった方が

はるかに健全に生きられる

怖がられるだけじゃすまないんだ。

普通の人間にとって耐えれる事態じゃないんだ

そんなこともわかんないのかおも前の頭は?

自分のことじゃなしに

周りの事考えろよ。一緒に食事してた人間だろう

こんなに一杯人じゃないもの見ちゃって

妖怪だけじゃなくって霊とかもだろうけど

平気でいられないのが普通じゃないか?」

「それって私が普通じゃないってこと?」泣きそうな可憐

「輝、ちょっと変って」とかずみ

「君は本当に普通の女の子なんだよ

ただ力がある分悲しい思いしてきたね

それ全部一人で乗り越えてきたんだ辛かったよね

知ってもらうことで悲しみをとりもどそうとしたんだ

でもね、力を隠してるからって全部の君が隠れるわけではないんだよ

記憶消すのもこっちの都合で勝手だよね

でも君のためにもなると思う。

ただの女の子で生きている時間があってもいいと思うんだ

だからお友達の記憶は消させてね

とても怖い思いをした記憶があるより

なんでもない楽しい記憶で埋め尽くしてあげて

記憶の奥底までは消せないんだよ

だからもしも記憶がよみがえった時

君の存在が力になれるような信頼関係を築いておくといい

かわいそうだけどごめんね俺たちは記憶をけしてしまわないと

普通に生きることもゆるされない妖怪なんだ」

可憐がはたと見る「貴方も妖怪なの?」

「妖怪だよ」とかずみが言うと耳と尻尾が生える

「あらら、きつね?」

「ひどいなぁ猫だよ」そういうともう人間の姿に戻ってる

「んじゃ、記憶消去結界はるよー」と美穂

おおきなシャボン玉に包まれるような幻想的な情景を見ながら

可憐は複雑な気持ちでいた

(でもね。自分を隠して生きるって辛いことなんだよ

私にはおじぃちゃんがいたけど…)

白い雪のようなものが降ってくるのを見ながら

(私そんなに自分よがりだったのかなー)

「それじゃ、失礼します」

そういって可憐は自分の家に帰る

一人でベットに横たわりながら人、力のある人間、妖怪、霊…

私には記憶を消す能力はないけど

麒麟ならきっとあるね

怖い記憶を消して生きるそんな生き方もあるんだと

可憐は自分に言い聞かせた



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