第2話 人気の魔物
君が何かしらのサイトに小説を投稿する。
きっと書き上げたときの達成感のまま、いかに多くの人の目に留まるかを期待することだろう。
だが、現実は非常なり。
誰の目にも留まらないこともある。
はたまたある程度PVが稼げて来た頃。
それでもコメントは一つももらえない。
こんなとき、君の背後に忍び寄る影。
PVもコメントももらえている。
しかし、どこか満たされない。
こう思った時には、もうすでにとりつかれている。
それが人気の魔物だ。
こいつにとりつかれると、他者の人気をうらやんでしまう。
困ったことに、こいつは一番初歩的であり、なかなか離れてくれない厄介な奴だ。
なにせ際限がない。
どれだけ自分の小説が人気になっても、この魔物も同時に成長していく。
世界一の小説を書けばいいのかもしれないが、上には上がいるとはよく言ったもので、失礼だが、君が世界で一番おもしろい小説を書くことは不可能に近いだろう。
よって、多くの作家はこの魔物と一生を共にすることになる。
私か?
ああ、もちろんいるよ。
ちょうど最近こいつのせいで、精神が削られてきてな。
どうせなら記録に残そうと思い立ったまでよ。
もっとも、対処法がないわけではない。
気にしなければいいのだ。
別の趣味に没頭するなりなんなりすればいい。
そもそも物書きを趣味としてとらえている人は、この魔物をものともしないだろうな。
最後に、これから物書きを始める人には、以下のセリフを覚えていてほしい。
「他人の人気がどうした。俺の小説は世界一面白い」
これを三回唱えると、魔物は消え去るだろう。(一時的に)
どうか、私の後輩達がかの魔物に出会わないことを祈る。
ウェブ小説探索記~これからこの地に足を踏み入れる者へ~ 砂漠の使徒 @461kuma
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