09 私の存在とは

 帰宅してからも校舎を思い出す度に涙がこぼれそうになった。学校で見ないようにとっておいたアルバムを広げ、一人一人のメッセージを読んでいく。「頼りになった」という言葉が次々に飛び込んでくる。「そんなつもりないのにな」と思ったけれど、恩師のあたたかい言葉で一粒の涙がこぼれ落ちた。


 涙を拭ってあんちゃんからのメッセージを見てみる。予想もしなかった「尊敬」の二文字。だって劣っている部分ばかりの私は、杏ちゃんみたいになりたいって憧れていたのに。「最後の最後に知るならもっと話しかけに行けばよかったな」なんて後悔もあるけれど、私達にはこれぐらいがちょうどよかったのかもしれない。無論、彼女が幸せなら――。




   終。

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夕日が沈まないように 山崎香澄 @y_kasumi

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