終焉のラガーマン

プテラノプラス

終焉のラガーマン

 昼休憩の終わりを告げる鐘がなっているにも関わらず、学生服を着た青年は男子便所の個室にて便座に座り込でいた。


 排泄が終わらないのだ。かれこれ30分は続いている。


 昼休みにクラスの友人たちと一昔前に大流行したラガーマンのポーズをしていたのがよくなかった。


「これカンチョ―のポーズに似てね?」


と盛り上がったところに話を聞いていた女子が凄まじい勢いでラガーマンフィンガーを尻の穴にぶち込んできたのだ。


 犯人曰く


「興味があるのかと思って…」


とのことだったが一体なんのことだろうか。ともあれそれ以降ずっとこうだ。


 しかもなんだ、固形物が出ているのでなく完全な流体が流れているような気がする。怖くて中身を確認していないがコレは血が流れているのではなかろうか?


 こんなところで死にたくはない。もしそうなら恥を忍んで、尻から血を流しながら保健室にいくしかないだろう。


 意を決して確認するすると。鼻腔に血の鉄臭い匂いとはことなるものが飛び込んできた。少し嗅ぎ覚えのある匂い。間違いない。親が缶ビールを開けた時にただよう匂いだ。


 見れば便器に溜まる水の色も黄金色の上から白濁の泡が纏っている。ビールを上からのぞいたような状態であった。 


 間違いない。尻からビールが出ている。尻からラガー……これがほんとのラガーマンというやつだろうか。やかましい。


 まさか自分の腹の中で酒が出来るとは思わなかった。お父さん、俺、これで食って行こうと思うんだ。


 そこまで人生設計を立てたところ少年は突如として今まで経験したことのない眩暈を感じるようになる。強烈な酒気を浴びたことが原因か、それとも排出したこと自体に問題があったのか。少年は強く酔っていた。酩酊する。


次に少年がベッドで目が覚めた時。彼の通っている学校が酒の密造の疑いで運営禁止の処分になっていた。


 後に彼はこう呼ばれる。終焉のラガーマンと。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

終焉のラガーマン プテラノプラス @purera

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ