オルクセン軍野戦調理教範⑤ヴルスト入りたっぷり野菜のスープ
<野菜と米、豆類について>
野菜を洗ったり、ジャガイモの皮を剥いたりするときは、無駄を省き、食材を有効に使うよう心掛けること。
出来れば切り刻む前に、手短に、ただし丁寧に洗う。
水分は栄養素を流出させるからだ!
根、皮、茎などを使用する場合は十分に加熱するように。
節約に貢献できる!
エトルリア米は肉と一緒に調理するか、それのみで調理するかである。他の具材に対して比較的少量かつ短時間の調理で済み、しかも腹持ちがよい。調理する前に数回洗う必要がある。
豆類は、良質な軟水と調理に多くの時間を必要とする。硬水を使用すると煮崩れは起きないが、調理時間はより長くなるからだ。
また、塩水で調理することは全く不可能である。スパイスや酢、砂糖を加えて味を調え、新鮮な肉やベーコン、ヴルスト、脂身を加えて煮込むとよい。
大豆は他の豆類と比べ柔らかいので、調理の最後に加え、軽く沸騰させるに留めるよう心掛けること。
乾燥野菜、乾燥ジャガイモは、利用可能な容器で約三時間、水に戻す下ごしらえが必要だ。ソラマメ、エンドウマメ、レンズマメは更に長く浸す必要がある。
この際の水は、調理に再利用すること。
効率的であり、調理時間を短縮でき、なによりも栄養素を失わない。
浸水作業を適切に終えた乾燥野菜の調理時間は、新鮮なものと変わらない。この作業を行わない場合、約三〇分長くかかる。
採れたての野菜は、古いものより調理時間が短い。
また、新鮮な野菜は健康を促進する。
例え少量しか使用できない環境下にあっても、調理に含ませること。
コボルト族の戦友諸君と肩を並べる我が軍にとって、キャベツは重要な野菜である。
タマネギ類に代わって料理に深みを与え、甘味と旨味をもたらすからだ。
またキャベツ料理では、調理釜の蓋にあたる蒸気により、料理に香味をつけることが出来る。
ロースト釜を利用し、軽く炒める下ごしらえを加えると、力強い風味を与えることも可能だ。
オーク族にとって匂いの強すぎる種類のキャベツ類、つまりサヴォアキャベツやケールなどを使用する場合、最初は調理釜の蓋を閉めずに調理し、余分な匂いを逃がし、そのあとで蓋を閉めて調理するといいだろう。
<ヴルスト入りたっぷり野菜のスープ>
まず、ロースト釜もしくはフライパンでキャベツを軽く炒め、柔らかくするとともに、香味を与える。
スープ釜に、下ごしらえしたキャベツ、ジャガイモ、レンズ豆、ローリエ、ブイヨン、ニンニク、ナツメグ、コショウ、塩を入れる。
沸騰したら火を弱め、二時間ほど煮込む。
セロリを加え、更に四五分加熱する。
ときおりスープの味と具材の固さを確認すること。
この料理には、ありとあらゆるヴルストを合わせることが出来る。
置かれた環境が許すならば、ヴルストは別茹でとし、ミートボードで切り分け、提供前に加えることが望ましい。兵士たちは肉を見たがるものなのだ。
難しい場合は、煮込みの段階で加えるとよい。
たっぷりとした野菜の生み出す甘味と、ヴルストの旨味。夏季はもちろんのこと、冬季においては温かみと滋養の溢れる一皿となるだろう。
(続)
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