第9話 ついに夢が叶う!?
枕元に置いてあった大きなプレゼントの包み紙についているセロテープを綺麗に剥がすと、欲しかったゲームが入っていた。
「やったー!まずは説明書を読んでゲームをセットしないと。いや、その前にパパとママにプレゼントの報告をしなきゃ」
隣の部屋で寝ている両親を無理矢理起こして
「見てみて!ゲームが届いていたよ。サンタさんがちゃんと願いを聞いてくれたよ」
もう何回目かの人生でサンタさんの正体を知っているがちゃんと知らないふりをする。
「良かったね」とパパは一言喋ったと思ったらもう寝ていた。
「良かったわね〜でもまた5時前よ。もう少し寝ましょ。」
そういうとママも寝てしまった。
「目が覚めてしまったし、ゲームやってみようかな?どうせ今日は冬休みだし眠たくなったら寝たらいいよね」
そう言って部屋でこっそり音を立てずにゲームの説明書を読みながら本体とソフトをセットした。
ヘルメットにVRがついた様な形で、自分が以前開発していた形状とは違っていた。でも仕組みは一緒で脳に刺激を与えて五感を感じられるようにしているみたいだ。
「よし、説明書も読んだしやってみようかな」
そう言って電源を入れてみるとまずは本体の初期設定で、生年月日や性別を名前を登録してそのあとは全身の写真を撮らないといけないみたいだ。
どうやらこれがゲームソフトの中のアバターと連携しているみたいだ。
そして待ちに待った異世界系ゲームソフト「君も異世界に行ってみる?」を起動した。
待ちに待ったゲームだが自分はこれで一回死んでいる。戦闘モードになってまた同じようなことになったらと思うと身体中から変な汗が出てきた。
「大丈夫。大丈夫。」
そう言って自分を落ち着かせて。
ゲームを起動してまずはアバターの設定するのだが、ゲーム内で知り合って現実でも会う人も多く、問題が起きないように本体に設定した情報でほぼアバターの見た目が決まるみたいだ。ゲーム内のお店でアバターを少しいじる事も可能らしいが別で課金をしないと出来ないようになっているらしい。
あとは名前を設定するだけだ。名前は実際と全く関係なくてもいいみたいだから、ブラという名前にした。
そしていよいよ。ストーリーが始まる。
「うわっ」
目の前が真っ暗になったと思ったら矢先真っ白い空間にいた。
「ここはどこ。ゲーム始まってるよね?」
周りを見渡しても何もないし誰もいない。音も全くしない。
「ゲーム故障しちゃった?」と不安になっていると前から真っ白い女神様みたいなのが現れた。
「こんにちわ。私マリア。あなたを異世界に送り出すために天界からやってきました」
「こんにちわ。」
ゲームだとは思えないぐらいリアルだ。少し怖くなってきた。
「今からあなたはモリオンという世界に行ってもらいます。」
「…。」
「最初に必要なものは装備しているので心配しないで大丈夫。わからなければチュートリアルを教えてくれるカエルのケロミちゃんに聞いてね」
「あの、能力とかは?」
「では、行ってらっしゃい。」
こっちの質問には答えてくれないようになっているみたいだ。
そしてついに異世界転生の時がやってきた。
目を開けると優しそうな夫婦と思われる男女がいた。
「あなた、ブラが目を覚ましましたよ」
「ブラちゃ〜ん、パパでちゅよ」
どうやら、赤ちゃん時代から始まるみたいだ。
ここまでこだわるなら、最初の女神に質問した時ももっとこだわって欲しかった。
赤ちゃんだから凄く暇で寝ようと目を瞑ると
目の前にカエルが現れた。
「ケロンパ。ケロミだよー!チュートリアル聞く??」
「えっ!何!?」
「目を3秒瞑るとこの画面が出てくるよ」
「へぇ〜それを最初に聞いときたかったわ」
「この画面ではチュートリアルが聞けたり、自分のレベルや能力の説明とかが見れるよ、色々みてみてケロ」
「セーブは?」
「セーブはオートセーブだよ。やり直しは効かないケロンパ」
そういうとケロミはケロケロ笑った。
「何がおかしいの?」
「皆セーブのこと必ず聞いてくるんだケロン。ここはゲームの世界だけどやり直しは効かないから、死んだらまた一からやり直しだケロンパ」
「ケロンパ言うな。ムカつくから」
「だから、最初は自分でチームを作ってメンバーを集めるか、既存するチームに入団するかがオススメだよ」
「まだ赤ちゃんだし、いつになったら冒険に出れるの?」
「せっかちさんだケロ。せっかちさんは嫌いだケロ〜ンパ」
「いや、質問しただけだし」
「この世界は20歳までは24時間で1つ歳をとるよー。それ以降は現実世界と同じ時間の進み方だケロン!冒険に行けるかはその人の能力や実力次第。強ければすぐにチームに入れるし、弱ければどこもチームに入れてくれないよー。」
「20歳までになるのに480時間。プレイ時間ってこと?」
「プレイ時間だよ。でも設定でゲームを切っていても時間を進めるよに出来るケロ。」
「ふーん。特殊能力はいつ分かるの?」
「う〜ん、、、特殊能力を持ってない人もいるんだケロン。だからその質問には答えれないケロン。ごめんケロンッパ。」
「異世界なのに特殊能力なし?ありえない」
「ごめんケロン。ゲームを作った人に文句言ってケロ。でも鍛えたら鍛えた分だけ体力とかの能力は上がるからゲームをクリアできる様にはなってるよ」
「じゃあ、魔法とかは?」
「魔法も使える人と使えない人がいるケロ。」
異世界転生ゲームなのに特殊能力や魔法が使えない人がいると知ってガッカリした。自分がゲームの制作に携っていたらこんなことにはなっていなかったと悔しい気持ちになった。
外の世界でママの声が聞こえる。
「もうゲームしてるの?朝ごはんできたから早く来てね」
「わかった。」
そう言ってゲームを切った。
何度生まれ変わっても異世界に転生できない件 かきかきさん @kakikakisan
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