第一章 あらすじ キャラクター 用語解説

 過去より未来へ 第一章 大罪人は飛来する 

 あらすじ

 記憶喪失の青年は、血に塗れた第三区画のなかで目が覚めた。彼が到着した日本は、権力者けんりょくしゃ――多種多様の常権じょうけんという力を扱う人々――の流刑地であり、能力者のうりょくしゃ――一人に一つ、固有の能力を持った人々――の自治区であった。能力者は、王国では劣等血種れっとうけっしゅと揶揄されて、人間の扱いを受けていない。権力者けんりょくしゃであった青年だが、記憶がないことと、奴隷の証がないことによって、赤髪の女性、メーゼが長を務める周防分区に引き取られることになる。

 周防分区は規模が小さく他に奴隷がいなかった。青服野郎ブレ・ベストと名前を与えられた青年は、同分区にいた権力者で獄卒ごくそつかこいや他の七名の能力者と数名と日々を過ごすことになる。なかでもルベラという少女――王国で貴族に仕えていたが、事件により追い出されて日本へと流れ着き、そのショックで話すことも食べることもほとんどしなくなった――は、極めて敵対的で、ブレは何度も襲撃に遭う。

 三度目の襲撃の際、日本の地下水路へと墜落した青年は、自分がルベラの事件の原因となったこと、第三区画に本来乗っていた二十人超の人間を自分が殺していたことを思い出す。権力者には十二時間の絶食が死に直結するという制約があった。防衛機制に身体を支配され、戦闘の果てにルベラを食べてしまうというところで、青年は自らそれをを破壊し、結果として取り戻した記憶をさらに沈降させる。目が覚めた病室で、自らの罪を再び忘れたブレは戦闘中の謝罪により彼を許したルベラと穏やかに食事を共にするのだった。



登場人物紹介 9名分

ステータス表記は1(最小)~5(最大)の5段階表記ですが、しばしばバグります。


☆ブレ・ベスト

 権力者けんりょくしゃ

 異能バトルものの一章なのに、同じ少女に三回こてんぱんにされて三回気絶しているなさけない男。目が覚めたらなんか血まみれの電車のなかにいたところ、引き取られて、三王国への帰還までの二か月間周防分区で生活することになる。

 正義感3/常権練度じょうけんれんど1/自分の将来への不安3/ルベラ恐怖症10→1/周防分区長って実は頼りにならないのでは? 8


☆メーゼ

 能力者

 赤髪で周防分区長の女性。白と赤のオッドアイ。常に眠たそうにしていて、ブレに無理難題を押し付けたり自分の提出書類を忘れたりしている。

 能力名『』(未公開)

 正義感5(自称)/自分は運が良い6/自分は前途洋々だ6/自分は美人である6/分区員が大切だ7/ビジュアルが違うだけでご飯はかこいが作ってもルベラが作っても一緒3/自分の能力が好き-13/眠い13


かこい

 権力者けんりょくしゃ

 周防分区長の副分区長の青年。基本的にメーゼの後始末や施設の補修をしている。何でも万能にできるが、料理をビジュアルよく作ることができない。同じ権力者のブレの世話を焼いている。

 正義感4/常権練度5/いまの自分の仕事が好きだ5/能力者は気安く施設を壊すな5/ブレは物覚えがいい4/メーゼがこれまで壊した質量で周防分区がもう一個作れる8/ルベラの料理の出来に嫉妬している7


☆ルベラ

 能力者

 白い短髪にガーネットの瞳の少女。新しく来た権力者をビビらせてやろうとちょっかいを出したら、まさかの宿敵で激詰めした。かつて仕えていたイストル大公の命じていたことに従い、彼を許した。

 能力名『指趾十界犀槍ししじっかいせいそう

 正義感0~3/権力者への憎悪8/ブレへの憎悪14→2/三王国に帰りたい2/任務とは関係なくいい食材を探しに出かけたい5/日頃施設を壊している分、栫に料理とか掃除とか教えて恩を返したいが、彼も権力者ですし……4


☆セス

 能力者

 ドレスにネックレス等めちゃくちゃゴテゴテした服飾の女性。能力によって人の視界から外れると別の人の眼前にテレポートしてしまうが、周防分区を覆う結界によって迷子になることを防がれている。優しい性格。

 能力名『昼霞ひるがすみ

 正義感5/ご飯がすき5/お喋りがすき5/周防分区のみんながすき8/ドレスがすき4/ブレが来たことについて、賑やかになってうれしい5/自分の能力がすき2/――の全う10


☆ジア

 能力者

 周防分区所属の壮年の男性。ガタイがよくて凛々しい。

 能力名『』(未公開)

 正義感4/責任感5/ブレ歓迎度3/肩車しているエッカーナが落ちないか心配5


☆エッカーナ

 能力者

 周防分区所属の少年。わたわたと走り回り元気。

 能力名『』(未公開)

 正義感0(わかんない)/責任感0(わかんない)/ブレ歓迎度5/肩車から落ちそうになってもジアが何とかしてくれる5


☆ヘロン

 能力者

 周防分区南棟の能力者。光って浮く自らの周囲を幻想の世界に変える、全盲の少年。浮きながらご飯を食べるのが上手い。

 能力名『月景帳げっけいちょう

 技『月景第二げっけいだいに、銀河の底の丘』(満天の星の夜の丘を周囲の空間に描出する。感謝を意味する)

 正義感2~5/責任感2~5/星は美しい5/海は美しい5/分区員は大切だ5/1という数字が嫌いだ20

 

☆ヴァータ

 能力者

 周防分区南棟の能力者。服をたくさん着込んだ貞子みたいな長身長髪の女性。瞳は藍色で充血している。能力によって、日本全土の人間の傷を肌に負い、その痛みを周囲にばらまいている。

 能力名『死傷羽織ししょうばおり

 正義感5/ご飯がすき5/お喋りがすき5/周防分区のみんながすき8/ドレスがすき1/自分の能力がすき-14/誰にも迷惑をかけないならいますぐに死にたい14


 用語解説


 地理

 ☆日本 デイツという巨木を中心に据えた湖畔の地域。本編の舞台。常権を使えない能力者たちが自治区としていて、周防分区などのように、分区というコロニーで暮らしている。湖の下には空間があり、そのまたさらに下には地下水路、『日本最下脈路にほんさいかみゃくろ』がある。『明震めいしん』によって、朝めっちゃ揺れる。

 ☆三王国 日本以外の地域、能力者が劣等血種インフェリアスとして人間未満扱いされている。


 時代

 ☆遥前代ようぜんだい覆天代ふくてんだい塵央代じんおうだい

 ・遥前代ようぜんだい 遥か過去、原初の人間が暮らしていたらしい

 ・覆天代ふくてんだい 巨大な人工衛星によって人類が管理されていたらしい

 ・塵央代じんおうだい 現代。人工衛星が剥離し、墜落して、莫大な塵埃が巻き上がった。塵は地球を覆う帯のような状態――塵埃圏じんあいけん――になり、それが地球を周回する巨大人工衛星の名残りによって天空に巻き上げられている日を『冠日かむろび』、地上付近に敷かれている日を『覆日ふくじつ』という。覆日には危険な砂を飲み込むため、生来身体を覆う膜のある権力者と違って、能力者はマスク等の装備なしに外には出られない。

 

 夜警連やけいれん

 日本の湖の下に居ついている機械生命体。六本足の獣から、回転刃を持つ球など、さまざまなものがいる。人間を襲う。


 常権じょうけん 権力者が使う魔術の技のようなもの。発声または両手での印号で行使される。権限階級があり、津合つあいというやり方で強化行使できる。一章に登場したものは以下のとおり。


権限一

 ・夢庇ゆめひさし  

 権力者を覆う膜を強化し防御力をちょっと上げる

権限二

 ・空接くうせつ  

 ドアノブを回すくらいの念動力を発生させる

 ・宵門遊よいもんあそび 

 自分の足を避けて回る火の玉を生み出し周囲を照らす

 ・伝奏でんそう

 こいつ直接脳内に!! のやつ。片道接続の短いテレパシー

権限三

 ・吊枷つりがせ

 落ちてくるものを空中に縫い留める。権限三なので、あまり大きかったり重かったりすると縫い留められない。ひと二人くらいが限界。

権限四

 ・爪樹冠銘西海土そうじゅかむろのめいさいかち

 手首から鋭い植物の枝を伸ばして攻撃する。鋭いのでつよい!

権限五

 ・はだやまにれ

 怪我を覆って回復を早める

 ・彼方かなた

 灯篭を空中に投げることで、火が吹き消えると同時にテレポーテーションする。


 まとめ

 以上第一章でした。今後もぬぬぬっと更新していきますので、よろしくお願いいたします。

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