最終章  誕生

かかしの意識が遠のいて幾日かたったある日、ある産婦人科の門の前に父親と少年の乗った車が入ってきた。


少年は車から降りる際、ドアを開け慌てているせいかシートベルトを外すのも忘れて降りようとして、シートベルトが変に体に巻き付き父親に助けられようやくそのシートベルトから解放された。


そして父親は笑いながら少年に話しかけた。


「浩太、そんなに慌てなくても大丈夫だ、

それよりも生まれてくる赤ちゃんの名前考えたいと言っていたが、決まったのか?」


浩太は恥ずかしそうに照れながら答えた。


「うん、かかしさんのしと僕のこうたのたを使い翔太{しょうた}ってのはどう?。

とても太くて大きな羽で力強くはばたくという意味だよ」


父親はなるほどという顔をして答えた。


「ほう、それは良い名だ、では女の子だったらどうする?」


間髪入れずに浩太は答えた。


「それも、決まっているよ。

同じくかかしさんのしと僕のこうたのこを使って翔子{しょうこ}っていうのはどう?」


父親は優しそうな笑みをうかべながら、


「そうか、それならお母さんも気に入ってくれるだろろう」


二人が病室に入ってから、程なくして、何処からともなくあの暖かくとても優しい風が吹いてきて、赤ちゃんの可愛い泣き声が、おぎゃ、おぎゃあと、病院中に響き渡ったのでした。




あとがき  

かかしのオイラから最後に一言


大切な時間を使って、この「風が運んだ物語」を最後まで読んでくれて有難う。

そして、この物語を読んでる貴方へ、


人生歩き疲れている人はいないかい。

もし、何かに歩き疲れていたらどうぞ、一度立ち止まって休んでください。

貴方は十分すぎるくらい頑張っているよ。

だから、疲れたと感じたらどうぞ休んでください。

疲れがとれてから、また歩いてください。

そして歩くと決めたら、顔をしっかり上げて、一歩一歩踏みしめてあるいてください。

そして忘れないで下さい。

貴方のそのやさしさを。

貴方は、その優しささえ見失なければ、きっと道はひらけるよ。

なぜならその優しさは、暖かくて優しい風が運んでくれたものだから。

どうぞ、貴方だけのかかしを見つけて下さい。

どうぞ、貴方だけの反不良同盟作って下さい。

神様は乗り越えられない試練は与えないものです。

じゃあ、いつ顔を上げて歩けばいいの、

″今でしょ″

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風がはこんだ物語 自称小説家 @katuyakunn

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