UFOと告白

保科早里

第1話

「なぁ、アメリカがUFOの存在を認めたって知ってるか?」

唐突に彼、海斗が言ってきた。

「はぁ?」

「やっぱり陽菜は知らないか」

いや、知らないとかじゃなくっていきなりUFOなんちゃらと言われたって、どう反応していいか分からないから困るじゃないか。


「なんでいきなりUFOが出てくんの?」

「いやーついにアメリカがUFOを認めたって知ったら、つい嬉しくなっちゃってさー」


いや、アメリカが認めたのは未確認飛行物体の正体がはっきり判明したのは数件だけで、ほとんどは正体不明。宇宙から飛来したものである可能性も否定出来ないとかいう曖昧なものじゃなかったか?


それを海斗に言うと、それだけでもUFOの存在を認めたのに近い事なんだ!ときた。


「あのさ、アメリカがUFOの存在認めたって何か私達の生活に変わりあるの?」

「分からんかなーロマンだよ。この宇宙に生き物がいるのが地球だけじゃないってロマン!」


うーん、分からない。それよりお腹減った。


「わかった、わかったから、私お腹すいちゃった。どっかでご飯食べない?」

「陽菜にはロマンってもんがないんだな」


海斗はガッカリした感じで呟く。


「何よ、宇宙人の話で盛り上がればよかったの?」

「別にそうじゃないけどさー」

「だったら何?」

「この広ーい宇宙でさ、俺と陽菜が出会って付き合ってるってすごい奇跡的な事と思わん?」

「え……」

確かにそうかもしれない。でも、そんな事を考えたこともなかった。海斗は、そんな事考えながら私と付き合っていたのだろうか。そう思うと、ちょっとドキドキするし、感動もする。


「海斗」

私は海斗を見上げると海斗は意外なほど、冷めた目で私を見ていた。


え……なんだこの表情は。



「前から思ってたんだけどさ、俺と陽菜って性格あわないよな」


「は?」

「俺、もっと話が合う女と付き合いたい。別れてくんね?」


な、なんだと!?UFOの話にのってこなかったから、別れ話されなきゃいけないのか。


なんだか急にバカらしくなった。そして無性に腹が立った。


「分かりましたよ。すいませんねUFOの話が出来ないつまんない女で」

「別にそれだけが理由じゃねえよ」


「海斗は自分だけが我慢したと思ってんの?もういいわ。別れる。これでいいんでしょ!さよなら!」


海斗はムスッとした顔のままだまりこくっていた。そんな海斗を置いて私は1人立ち去る。


まさかUFOの話から別れ話になるなんて、思いもよらなかった。

海斗がUFOに興味あったなんて今まで知らなかったし、本当にどう反応していいかわからなかったから。


少し振りかえってみると、海斗は逆の方向に歩いて言っていた。


あー終わったな、本当に。


ルックスは好みだったけど、海斗の言うとおり性格、あわなかったのね。

それにしても、海斗はいきなりUFOの話を持ち出して何したかったんだろ?


永遠の謎である。

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UFOと告白 保科早里 @kuronekosakiri

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