変身

アールケイ

もぐら

 明日、目を覚ましたら空を舞う蝶になってたらと思った。

 自分という存在に価値を見出せない、そんな価値のない自分が嫌いで消えてしまいたかった。

 ある日、空を舞う蝶を見た。美しく飛ぶその姿は、儚く憧憬の念を覚えた。

 自らが自由であると主張するその姿は、私の理想そのものだった。

 だから、蝶になりたいと思った。空を自由に舞い飛ぶそんな蝶に。

 こんな、惨めで醜い人間なんてやめて、価値のない自分とさよならして、蝶として生きていきたかった。

 けど、私はモグラになっていた。人間なんかよりも酷い、醜い、ただの毛むくじゃらの塊、そんなモグラに。

 これまで私がバカにしてきた、そんなモグラさんに。

 そんな私の元に、一人のモグラが近づいてくるとただ一言だけこう言った。


「今年も大量だな。早く収穫しちまおう。明日には元に戻っちまうんだからな。これだけあんだ、もったいねー」


 それは私へではなく、私の死角に居たもう一人のモグラさんへのものだった。

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変身 アールケイ @barkbark

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