After story 1


 「うわ~、久々だね~!!」


 時が経つのは早いもので、あの結婚式を終えて、もう3年が過ぎた。

 相も変わらず俺は仕事に追われる日々。

 何なら忙しくなってるまである。


 えらくなったら、ふんぞり返って、仕事は部下に任せる。

 そんなものだと思ってたのに……


 「休みがほとんど取れずごめん……」 

 

 「巧のこと攻めてるわけじゃないよ。精一杯私たち家族のために、頑張ってくれてるのは知ってるし、家に帰ってきても家事とか色々やってくれるしね~」

 

 「かすみ……」


 かすみの笑顔が俺の仕事の疲れを癒してくれるぅぅ。

 あぁこれだけでも、最高だけど、今は夏。

 しかも来ているのは海!


 ってことはつまり、 


 「久々の水着はどう……かな?」


 かすみがこちらの様子をチラチラと窺ってくる。


 「最高以外ないけど???」


 何を当然のことを。

 30代になっても変わらぬその美しさ。


 10年前よりもより大人っぽくなり、しかも人妻(俺の!)となったことで妖艶さもにじみ出てきた。

 更に30代の色気。


 え?さいかわかな?


 「巧も変わらず腹筋引き締まってるねぇ」


 「そりゃなんとか、ね?」


 ない時間を捻出し、筋トレに。

 それもこれもすべては……


 「ちょっと二人とも~、イチャイチャして自分の空間作らないの!ここにはみんないるんだから」


 少し髪を伸ばした真希が、茶々を入れてくる。


 「あらあら、いいじゃない。夫婦仲良くて。異国の地で、元気にやってくれてると思って安心だわ」


 海辺のコテージのベランダから、顔を出した真奈美さん。

 昔とちっとも変わらない。


 「お母さんまで!?」


 「まぁ後言うとしたら、うちの人も巧君みたいに身体引き締めないかしら。こんなかわいいし、かっこいい息子、娘たちがいるのに、全くもう……」


 まぁその毒舌ぶりも相変わらずだけど……。

 真奈美さんの言葉に、お義父さんがうなだれちゃっているじゃん。


「まぁまぁ真奈美さんそこまで言わずに。歳をとると、なかなか代謝が落ちてきますからね〜」


「とかいって修さん身体引き締まってるじゃない、出来るサラリーマンて感じ。あ、でもこの間役員になったんだっけ?」


「まぁなりましたけど…………でも知り合いの会社ですからねぇ、厚意でなったようなものですよ?」


「それでもある程度、結果ださないとなれないものよー、転職なんてる程度覚悟ナイト出来ないからね~おくさんのためにそこまでできちゃうのには妬けちゃうわ~」


 所在なさげの親父の顔。

 あ、めっちゃ困ってるな。


 「ほんとにありがたいのよ、病気でまだ動きづらい私の分までやってくれて……」


 母さんはまだ完治はしていない。

 だんだんとよくなってるし、前とは比べるまでもなく元気だ。


 「いい旦那さんをもったわね~」


 「あら真奈美さんだって家族のために働くいい旦那さんじゃない」

 

 「まぁそうだけどね~……」


 あ、お義母さんがでれた。

 

 「もうすこし甲斐性と髪の毛がほしいとこよねぇ」


 「ぐふっ」


 あ、致命傷はいったかも。

 髪の毛は、最近AGA治療があるから……ね?強く生きてください。

 そんな絶望しないで。


 

 「そういえば真澄さん。最近ではリハビリもかなり頑張って、その体験をブログとかに乗せてるんでしょう?結構好評って聞いたわよ?」


 「好評っていっても、そんなによ?数千人のフォロワーだけだから」


 「いやいや患者さんのブログって思ったよりいろんな人見るからね。そう言う人の助けになってるからすごいよ」


 「巧あんたもう余計なこと言って!」


 「ほらほら素直に褒められておきなさい、って」


 「全く生意気言って、かすみちゃんもなんかいってあげてよ」


 唐突に話を振られ、かすみは


 「まぁ盛況なのはいいことですよね~」


 そんなことを言って、ビーチへ。

 お酒も入っている、両親の間にいるのはきつかったらしい。



 「それにしても、こんな未来があるなんてねぇ?」


 「あら?私はあるんじゃないかなーと思ってたわよ?……でも私に相談してくれなかったのはショックうけちゃったなぁ?」


 「だから謝ったじゃない、それにお酒もおごったし!」


 「まだ足りないかもぉ?」


 「あんたねぇ……」



 以前はぎくしゃくしていた、真奈美さんと母さんも今ではいじり合うくらいには戻ってきている。

 それくらい、隠していたことに真奈美さんは怒っていた。

 まぁそれだけ母さんのことを大事に思っていた、ということなんだろうけどね。

 

 「もうあんなことしないから、ね?」


 「わかればいいのよわかれば」


 ふん、す、と頷く真奈美さん。

 両親たちがお酒を飲みながら笑っている。


 「ふふ昔みたいな光景だね」


 いつのまにか、かすみがとなりに戻ってきている。

 

 「あれ?いいの?」 

 

 「うん、今は任せてきた~。久々に二人でゆっくりしてきたら、って」


 「昔みたい、っていう割にはみんな年を取ったね」


 「みんな大人になったからね~、もちろん私たちもだよ?」


 「俺はまだ自分が大人、とは思えないけどね?」


 30近くなっても実感わかない。


 「確かに。時間忘れて研究するし、ご飯もあんまり食べないし、気づいたらカップ麺ばかり食べてるし、ピーマン食べないし、ね?確かに巧は子供かも?」


 「手厳しいね」 

 

 全部事実だから、なんとも否定しづらい。

 まぁかすみも本気で言っている訳ではないのは表情で分かる。


 じゃれ合っている感じ、かな?


 「まぁそんな私も大人になった感じはあんまないんだけどね?」


 「一緒だね?」


 「そう、一緒になっていくんだよ、大人にも、そして


 遠くで両親たちと遊ぶ、愛娘の姿を見る。


 「子供に親にしてもらう、っていうのは良く聞くけどほんとそうだよね~」


 無邪気に笑う娘の姿がいとおしくてたまらない。

 まぁ誰に似たのか。じゃじゃ馬でもあるから手も焼かせられるけど。


 「いつもお世話お願いしてごめん、かすみも仕事忙しいのに」


 「何言ってるのよ、巧も帰ってこれるときは家のことよくしてくれるじゃない?それで友達とかとも遊べてるし、息抜きもちゃんとさせてもらってるよ?巧みこそ大丈夫なの?」


 「俺は二人に会えば、疲れなんて吹き飛ぶよ?家族って偉大だね?」


 「なるほどなるほど、ね?」


 なんかかすみの眼が妖しく光った気がした。

 まぁそんなかすみも可愛いからいいんだけど。



 チェアに寝そべりながら、ぼーっと眺める。

 あ~久々に休めてるなぁ


 「ね」


 なんて考えてたら、かすみが覗き込んでいた。


 「んー?」


 「さっきの話の続き、だけどさ」


 「さっき?」


 どれだろ?



 「子供に親にしてもらえる、っていうのと、娘が巧の癒しって話だよ?」


 「………うんしたね?」


 あんま関連が見えないけどね?


 「……そろそろ、いいんじゃないかな?」


 「そろS……」


 考える前に、かすみが胸を押し付けるようにもたれかかってくる。


 「ふ・た・り・め?」


 「…………っかすみ?」


 「巧」


 かすみの眼が離せない。

 その瞬間、もう周囲の空間から隔絶される。

 そこには確実に二人だけの空間が形成されていて。


 「かすみちゃーん、へーるぷ!!!」


 後刹那、というところで母さんから呼ばれる。


 二人して顔を見合わせ、プッと笑い合う。


 「また夜、ね?今日はお母さんたちのところで寝る、って言ってたから」


 「楽しみにしてる」


 「ふふ」


 そんな蠱惑的な笑みを浮かべて、かすみはお母さんの元へ。


 後に残されたのは俺一人。

 そして。


 「姉さん行っちゃったね?……嫉妬しちゃう?」


 「愛娘には嫉妬しないよ?……まぁかすみはしてるみたいだけど」


 たまにむぅって頬膨らましてるし。


 「姉さんらしいわ。あ、ビールいる?」


 「お、いいね。もらう~」


 二人してしばしお酒を飲む。


 「……なんか二人の子供って感じするわ」


 唐突に真希がそんなことを言い始める。


 「やっぱわかる?俺に似てるんよなぁ?」


 「いや姉さん似だけどね?……じゃなくて性格とか行動とか?」


 「……そうか?」


 「うん、後は名前がすごくしっくり来たかな?」


 名前、名前か。


 「【未来】いい名前だね?」


 「だろ? 俺とかすみで決めたんだから、な」

 

 「お、のろけか? このおしどり夫婦」


 そう言って、真希は酒を呷る。


 夕日がとてもまぶしい。

 この光景は本当に自分が子供の頃に見たもので。

 それを自分の娘に見せられた。


 

 「うん、見たかった光景だ」


 想い出の最初は家族がいて、次は俺とかすみだけで。

 今はまたみんなで、いや家族が増えて

 みんなが笑って、今を過ごせてる。




お久しぶりです!!

久々に書きたくなって、書いちゃいました!!

何か皆さんが気になるエピソードとかあれば教えてください。


あ、ちなみに新連載始めました。

タイトルは

「正妻戦争~ハーレム嫌いの俺が悪役令嬢、ドS美人教師、腹黒同級生……etc.という超癖ありハーレムを創る羽目になった訳」


https://kakuyomu.jp/works/16817330659846026138/episodes/16817330665985175672


お時間ある時にお読み頂ければです!!


ではまた!

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【完結】くそえっちなお姉さんとのイチャコメ〜家族と幼なじみに裏切られた俺は幼なじみ系お姉さんに救われる〜 湊カケル @kakeruminato1118

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