正妻戦争~ハーレム嫌いの俺が悪役令嬢、ドS美人教師、腹黒同級生……etc.という超癖ありハーレムを創る羽目になった訳
湊カケル
プロローグ ハーレム制度
プロローグ
ハーレムなんて糞だ。
浮気するのは、複数の女の人と関係を持つのは、良くない。
俺が今まで、散々思っていたことだ。そう思っていたことなのに……
「……ぉはよ~」
けだるそうな声が枕元で聞こえた。
普通なら起きるけど、今日は休日だし、全然寝過しても大丈夫。
というかもっと寝たい。昨日は夜遅かったし。
もう、まじでふっつうに眠い。
おやすみ……
布団を深くまでかぶり再度熟睡にはいろうとして……
「あ~、無視するんだぁ。……ふーんでもそっちがそう言う感じならこっちもこっちで考えがあるからね?」
何やら不穏な声が聞こえた。
けど完全に覚醒しない頭では、何が問題なのか判然としない。確認したくなかったというのも少しはあるかもしれないけど。
普通に考えれば、それが一番の悪手ではあったはずなのにな。
とすん、と誰かがベッドに腰かけたと思ったら、そのまま布団に入ってくる。……入ってくる?
柔らかな感触がぴとりと身体にくっつく。
「……ま、安定?」
……うん?
布団にモグリコンデキタ……?
というか、それだけじゃないよね?
なんか左腕が柔らかいものに包まれているような気がするんですが?
それもぎゅっと、ほんとぎゅっと。
柔らかぁ……
……じゃないよな――
「――いやいや何してんの?!」
あわてて布団をはがし、
「ほら静かに~私も寝たいんだからさ~、ウィンウィンでしょ?キョウ君はぁ同級生の婚約者と寝れてラッキー、私も大きな腕を枕に寝れキョウ君の匂いに包まれてラッキー、はい証明終了QED、Go to Sleep!」
早口で言い放ち、トドメとばかりに可愛い顔でキラリとウインク。
寝ぼけた眼でもわかるその圧倒的美貌。
漆黒の髪は絹のように綺麗でめちゃなちゃ良い匂いがする。
このまま寝れたらなんて幸せなのか――
「――勝手に人の心をアフレコしない!」
「たははぁ、ごめんちょ」
てへぺろとあざとく笑う。
その笑顔は
取り繕ったような微笑みじゃない。
「何なにいきなりどしたの? そんな真顔で見てきて。……あ、分かった!……ほれた?とうとう私に惚れたんでしょ?もうしょうがないなぁそれならやっぱりぃ、ここで一発ゥ」
瑞麗さんの軽い言葉に苦笑する。
気楽な言葉は前と変わらないままだけど。
「いやそれはまぁ……ほら〜最初に会った時とは変わったなぁっておもて」
俺がそう言うと少し気まずそうに目をそらし遠い眼をする。
「それは即答するところなんだけどね!……でも最初はもうほとんど人生に絶望してたからねぇ。あの頃に比べたら今の幸せは考えられないよ」
「……俺もだよ、まさかランジェリー姿で寝室に来るようになるなんて」
「いい変化だね!!」
そ、それはどうかな、そう言おうとして、また扉が開く。
まあ制度的には正しいか。
現れたのは金髪のロングヘアをポニーテール上に編み込みまとめ、目元は切れ長の眼がきつそうな印象を人に与える。本当はめちゃくちゃ優しい人なんだけどな、勘違いされやすいだけで。
そんな女性が、ピンクのエプロン姿で部屋の前に立っている。
ナチュラルメイクを済ませ、服は白いブラウスに、網目で長めのロングスカート。どこか高貴な印象を受けさせる。
というかまあ実際に高貴なんだけどね
「おはようございます。
あーあ時間切れかぁと素直に瑞麗さんは布団から出ていく。この人を怒らせたら怖いのはもうみんな知ってるからな。
「はーいママぁ、そっち行きまーす」
「ママじゃありません!まったく」
そう言いながらも
頼られて嬉しいのかな?
これまでそんなこともなかったから、新鮮なんだろうな。
「……恭弥君も起きてくださいね?」
俺しかいなくなったから、恭弥君呼びになった。
二人だけの時は恭弥君、誰かがいると、恭弥さんよびになる。なぜか気づいたらそうなっていた
さっきよりは言葉が優しい、まぁジト目だけど。
あぁ寝たかったのにな。
「はーいママぁ」
「だから私はママじゃ…………ま、まあ恭弥君にならたまにはありかもしれないですけど」
「うわでたサヤがキョウ君にだけ甘いヤツ、贔屓はいけないんだぁ」
まだ部屋の外にいたらしい。
瑞麗がボソリと呟いたのを紗耶香さんは目ざとく聞きつけ――
「瑞麗は朝ごはんサラダだけにしますか??」
紗耶香出会った頃によく見た、氷の微笑をむけられていた。あの頃はほんとに怖かったなぁ。
こんな姿も最近見なくなってきた。
「……恭弥さんもなにか?!」
「いえ、なんでも」
「そうですか、それでは早く起きてくださいね?みんな待ってますから」
……それじゃおれも起きるかぁ。
ママを怒らせるわけにもいかないし。
部屋を出て、みんながいるリビングへ。
朝食の香ばしい香りが鼻腔をくすぐる。
ダイニングテーブルにはもう俺以外の全員が揃っていた。
「改めておはよーうキョウ君」
「恭弥さんおはようございます」
2人して笑顔を向けてくる。
それともう1人。
「おはようございます。ご主人様」
茶髪でショートカットの年上なお姉さんが床に跪き挨拶する。
「だから先生、ご主人様じゃないって、ほら跪いてないですわってご飯たべよ?」
「私も家では先生じゃないですよ?ただ従順なペットですから、ね?ご主人様。だ、だから今日の夜くらいにお情けを……」
「せんせい?朝ごはんの時間ですよ?なしにします?」
紗耶香さんが氷の微笑をうかべている。
「ごめんごめんちょ、そんな怒ると、さやちゃん皺ふえるぞー」
「先生程年取ってないのでまだまだぴちぴちですよ?先生こそ気にされたらいいんじゃないですか?ほら小皺とか、ね?」
ぴき、という音が聞こえた。
気のせいかな?気のせいだといいなぁ。
「はぁ、分かってないなぁ。私まだ22だよ?中途半端な二十歳より魅力増しましよ?まだそこかぁ……大学生にはわからないかぁ」
ぴきりと、また別のところから、音がした。
今度は紗耶香さんからだな。
「なんですって?年増」
「は?何よ、ガキ」
ばちばちにらみ合う。
あー気まずいよぉ。
「さ、こんなおばさんたちほっといて、ご飯食べよ?キョウさんはいあーん」
すすす、と瑞麗さんが俺の腕に絡みつく。
その瞬間、二人の視線が一斉にこちらへ。
「ご主人様の手は私の胸で挟まれるべきなんだけど?」
いや違います。
「私があーんするためだけに料理創ったんですけど?」
いやみんなで食べる為では?
「「てかおばさんじゃないし!」」
こういう時だけ息ピッタリなんだよなぁ。
「……紗耶香さんも瑞麗さんも莉緒さんもみんな綺麗で可憐でかわいくて美しいよ」
何を言ってるんだ俺は。
本当に。
「だから言い争ってないで、美味しくご飯食べない?」
にこりっと笑顔。
「じゃああとで全員に、ちゃんとしてね?」
全員が懇願するようにこちらを見てくる。
それが意図することはもう分かっている。
「…………あぁぁ、うん」
「「「「いただきます」」」」
朝ご飯が美味しい。
というかなんでこんな俺は前世で言うと、女性の敵みたいなことをしているのか。
はぁ。
ほんとどうしてこうなった。
みんな最初は俺の事大嫌いだったじゃないか。
それがどうして……。
改めて言おう。
ハーレムなんて糞だ。
そして、こんな俺自身が本当に
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