第13話
…どうして小野田さんの名前が…?
私は頭が真っ白になった。
小野田さんの会社のVTuberは、みんな枕営業をしている…?
「うそだ、私はしてないもん…。」
でも、私はまだフリー契約中だ。
本契約してるVTuberには枕営業を強要してるとか、そういう可能性は否定できない。
でも、小野田さんはそんなことをするような人には見えなかった。
少なくとも、私にはいつでも優しかったし、VTuberをとても大切にしているように見える。
とりあえず私は小野田さんについて調べることにした。
怪しんでいるからではない、どこかでこれは間違いなのではないかと思っているから。
小野田さんはそんな人じゃない、と必死で他のコメントを探す。
そう、実は似たような名前の事務所経営者がいて、その人が悪い人…とか。
しかし、どれだけ探しても小野田さんを悪く言っているコメントしか見つからない。
「嘘だよ。あんなにいい人なのに…。」
でも、ここまで書き込みがあるんだ。
もしかしたら小野田さんが事務所の子に枕営業を強要しているのは本当なのかもしれない。
ーー信じたくない。
「あれ、この書き込み…。」
ーーー
私はこの事務所の社長のせいで男性不信になりました。
所属したての頃はとても親身に話をきいてくれて、気が付いたら彼のことを好きになっていました。
ただ、ある日彼からホテルで待ち合わせをしようと連絡があり、
好意を持っていた私は喜んでむかったのですが、そこには某有名会社のお偉いさんがいました。
待っていたよと言われ、食事をしたのですが、その後は部屋に連れ込まれ、性的な行為を強要されました。
私は合間をみて彼に連絡をとりましたが、
仕事をなくしたくなかったら対応しろ、
怒らせたらお前のVTuber生活は終わる。
と脅されました。
信じていた彼に裏切られ、その場から逃げ出したい気持ちで一杯でしたが、
VTuberを続けたいという一心でその場はやりとげました。
ただ、その後枕営業の話は頻繁にくるようになりました。
確かに仕事は増えましたが、私は心身ともに不安定となり、VTuberを引退しました。
こんな風に被害にあってしまうVTuberを少しでも減らしたいので書き込みしました。
みなさん、あの会社には気をつけて。
匿名VTuberより。
ーーー
私はこの書き込みをみて、私が入る少し前に、体調を崩して引退してしまったVTuberがいると小野田さんが話してくれたことを思い出した。
だから私には無理をしてほしくないし、
なにかあったらすぐ相談してほしいと、そう言ってくれていたのに…。
「もしこの書き込みがそのVTuberさんだったら…。」
引退の理由は小野田さんじゃないか。
そんなの、ひどすぎる。
でも、この書き込みがただのいたずらの可能性だってある。
…それでも、ここまでいろんな書き込みがあるんだ。完全にいたずらだって言いきれない。
…確かに思い返すと、
枕営業の事に関して、小野田さんは少し非協力的だった気がする。
私の中では対応が難しいからそういう態度になってしまっているのだと勝手に思い込んでいたのだが、
もし本当の事だから噂を消すことができない。と思っていたとしたら?
非協力的になるのは当たり前だ。
それに、私にSNSの検索を控えろと言っていた理由は?
単純に、私がアンチコメントを見て落ち込まないように、と思っていたけど、
もしかしたら枕営業の事を隠しておきたかったからでは?
ーきっと、これを知ったら私はVTuberをやめると言い出すと思って。
そして、なにも知らないまま本契約させて、私にも枕営業をさせる気だったのではーー?
そんな。
小野田さんがそんな人だったなんて。
だってあんなに優しくしてくれたもん。
なにも取り柄のない私をVTuberにしてくれて。アドバイスもたくさんくれて。
せっかく、信用できる人だって思ってたのに…。
私はひどく落ち込んだ。
まだ確実ではない。でも、きっと小野田さんは悪い人なんだ。
「これから、どうやって関わっていけばいいんだろう…。」
俺の妹がVTuberかもしれない @jingu_jingu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。俺の妹がVTuberかもしれないの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます