第4話 君といた部屋Ⅳ

「君といた部屋Ⅳ」


春から夏に移りゆく

緑の風が爽やかで

それから雨が降り始め

夏が近づくこの部屋に


強い陽射しがまぶしくて

エアコンアイスに冷蔵庫

木陰の下で一休み

部屋で過ごした夏の午後


小さな窓辺が好きだった

子どもの遊ぶ声がした

車の走る音もした

雨の景色が近かった


いつの間にやら秋の風

稲穂の匂いが窓辺から

お風呂のお湯が心地よい

毛布に包まり過ごす夜


こたつを出して冬支度

こたつ布団も買ってきた

二人ではしゃぐ冬の夜

こたつでウトウト冬の夜


今年は一緒にクリスマス

二人でいそいそ飾り付け

ケーキを買いに出かけたら

空から白いプレゼント


二人っきりのクリスマス

今年はどこにも出かけない

二人の部屋でしんみりと

小さな幸せかみしめる


紅白テレビ大晦日

二人で除夜の鐘を聞く

それから歩いてお年始に

ずっと一緒に過ごそうと


大寒立春通り過ぎ

春の気配が駆け足で

東の風が吹く前に

決めなきゃいけないことがある



こうして僕たちの1年が駆け足で過ぎていった

3月末でちょうど一年になる

君といる部屋

僕たちの部屋

それでも僕たちはまた一つ歳を重ねる

まだまだ

どうしたらいいのか決めかねていた



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君といた部屋 詩川貴彦 @zougekaigan

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