ワンナイト・ラヴ
ナイトナンバーアクセス。
最近流行り出したアニメが、目の前に出てきて戦いを始めた。
夕陽を見てたらアーシェラ兄妹ごと、俺は警察署に連れて行かれたのである。
「君はあの2人と関係があるの?」
「無いですよ、全く」
「で、あの機械に乗っていたという証拠も出てるけど、あれを知っているのかい?」
「噂程度にはね」
「……君はどっち側?」
「と、いうと?」
「君は異世界側の人間か、こっち側か?って」
「こっち側!」
警察署で取り調べを行なっていたわけだが、あろうことかあの兄妹の後だった。弁答に困ることこの上ない。
「ナイトナンバーと言ったかな。あれには乗れる人は限られてると言ってたから。しかし、君は乗れた訳だ。だから少しだけ君を疑ってたが……」
「何です?あの時正しかった行動を説こうって?」
「逆だよ。個人的に弱い立場だから、感謝してるよ。ありがとう」
「え?」
警官から出たのは御礼の言葉。突然だったので、凄く戸惑った。
「なに、刑法で裁かれる事もないでしょ。あの2人が役に立たなかった以上は、君のは緊急避難だろう。世の中結果が全てだからね?」
「そう、ですか……」
警官は笑いながら「悪かったね、家まで送って行こうか?」と提案をしてきた。折角だ、夜も遅いし送ってもらおう。
お家に帰って23時。親が心配している。
「河紀!あんた今まで何処行ってたのよ!?」
「おう、おかえり河紀~」
「あなた!もうちょっと危機感持って!」
リビングじゃ、お父さんがニュースを見ながらお茶を飲んでいる。
ニュースは今日あったロボット同士が起こした戦闘時の映像が流れている。あれを指差して
「俺はあれの当事者だったからね、警察に職務質問されててこんな時間になったわけ。心配かけてごめん」
「……はぁ」
お母さんは少しよろけて、手すりにつかまってる。
「全く、そういう時はお母さんかお父さんに電話しなさいって言ったわよね?これでも心配性って何回も言ったでしょ?夜遊びしないだけマシだとは思ってるけど……」
「河紀はお利口じゃないけど、やるべきことはやるからお父さんは心配してないぞ~。それより、早くしないとお母さんが作ってくれた飯が冷めるぞ」
「それはいけない!お母さん、すぐ荷物置いてくる!」
「……はあ」
ため息ついてるお母さんを置いて、すぐに荷物を自室に置いてリビングに戻ってくる。
「どこどこ!?」
「慌てなくてもテーブルに置いてあるから。今日はあんたが大好きなハンバーグよ」
「はーい!」
すぐに座って、米をかき込みハンバーグを食べる。流石にここまで来てしまえば、お母さんも笑ってる。
◇
寝ている。しかし、異様に暑い。
自身が夢と自覚する時はあるだろうが、今回は夢だと思えても他人事とは思えない事だ。
ナイトナンバーシリーズ、警官が言ってた通り乗るには条件がいる。それは騎士道や武士道、志ある者しか乗れない特別な機体。それが、何もない俺が乗れたのだ。
見たことがない、紺色のナイトナンバーが俺を見ている。
「なんだよ……?」
夢の中では寝巻きのままで、不釣り合いなことこの上ない。しかし眼を逸らしたら一気に気まずくなるような気がして逸らすことができない。
『……ナイトナンバー、それは道なき者が乗れぬもの』
「私の道は……」
ナイトナンバーの登録詠唱。メカ→パイロットの順で『ナイトナンバー、それは道なき者が乗れぬもの』「私の道は〇〇の道」『承知した。なれば私で授けろ』というもの。しかし、俺はそんなものは無い。
『貴様に道は無いのか』
「そうだなあ、俺の道か。“血道”だ」
『血道……外道を行くか!』
紺色のナイトナンバーは、驚きの声を出す。しかしカッコつけて言ってみたがそれは分かりやすくいうと性欲をかっこよく見せてるだけだ。やらかした
「人間誰もが通る道だ。それ以外に俺が行く道など無い」
『貴様……』
「そう言うなよ、俺は普通の人間だ。本来会えないはずのアーシェラ・ジャンヌが出てきたなら、食うべきだと思うのだが。そうだろう、ナイトナンバー」
今なら何故バーンのナイトナンバーが扱えたかわかる気がする。人は欲望や生き方そのものが道だ。誰も設定できないものを、走ってるから。
『人道と言うものか』
「そうだな。さて、ナイトナンバー。俺と契約するか?最も契約したなら原作通り……いや、そっちの世界通りにパイロットの思う姿になってもらうぜ」
『……いいだろう!外道を往くなら付き合おう!』
「じゃあ、少しの間だがよろしく頼むぜ。お前の名前は、血道を往く者の事象をつける。お前のナイトナンバーは……“ワンナイト・ラヴ”だ!」
夢の中が光り出す。薔薇が散る、赤い膜が空を舞う。ラヴと俺で、それを見上げる。
ナイトナンバーを手に入れてしまったが、果たして俺はまともに戦えるのだろうか。
2枚目気取りのメアリー・スー @ko_gei
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