2人の孤独と1つの想い

空から落ちてきた片翼の少女と、たった1人の少年が、月明かりの下で出逢う。作品の導入は、シンプルだった。
その直後、世界は「孤独」という真っ黒な雲に覆われていく。初めて話したはずの少女と少年。2人の過去と現在は、少しずつ交わり始めた。
時間を交わし、少しづつ距離が縮まっていく2人。話が綴られていき、結末に向かうにつれ、我々は運命を呪い、読むのを躊躇ってしまうだろう。
それでも、気づいた時には作品を読み進めてしまっている。
それは、この作品が持っている魔法なのだろうか。それとも、魔法ではない「何か」が、この作品にはあるのだろうか。

ここからはただの筆者の邪推ではあるが……
もしかしたら2人の運命は、出逢った時点で確定していたのかもしれない。

九十九 疾風さんの他のおすすめレビュー4