第9話 あやかしの森

 七実とワフアは森の奥深くまで進んだ。

七実は歩きながら、七実の少し前あたりをフワフワと浮かびながら案内してくれるワフアを見つめていた。

ワフアの毛並みは真っ白で少しシルバーがかっていて、とっても綺麗だった。

相変わらず、甘い爽やかなベリーのような香りがして、思わず抱きしめたくなるようだった。


七実は道中、ワフアに今日の三者面談の事や、進路に悩んでること、ラ・ブリエールのリトルプリンセスのこと、母さんのことやお祖父ちゃんのこと、ありとあらゆることを話した。

ワフアはどの内容の話にも微笑んでコクリコクリと頷いて聞いてくれた。

まだ会ったばかりのワフアだけど、不思議と何でも話せた。


二人が森の中を進んで行くにつれて、だんだんと霧が出てきた。

ワフアは七実に言った。

「霧が出てきたね。アンジーの住処に近づいてきたよ。

七実ここから先は気を付けて行こうね。これからどんどん霧が濃くなって来るよ。

あやかしの森に入るからね。」


「あやかしの森?!何それ?」

七実はちょっと怖くなった。


「あやかしの森は、足を踏み入れた者に幻想を見せて来るの。

その幻想はとっても本物みたいで現実のような物だから騙されないようにしないとならないの。

幻想と現実を見極めれば、霧は晴れてあやかしの森を抜け出せるから大丈夫だよ!

大丈夫!七実ならできるから。」


七実はワフアに大丈夫と言われても、とっても不安になった。


私無理だよ…。

と七実が言おうとした時、どこからわいてきたのか霧が七実たちを包み込むように一気に濃くなって、ワフアが見えなくなってしまった。


「ワフアー!」

七実は大声で叫んだけど、ワフアから返事は無かった。

どうしよう…。七実が焦っていると突然落雷の様な耳をつんざく様な激しい音がして、七実の正面へ向かって突風が吹いてきた。

あまりにも強い風で、七実の身体はふわっと宙に浮き、そのまま吹き飛ばされてしまった。

七実はそのまま意識が遠のいて行ってしまった。

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