ドラゴン討伐
「よしっ! これで狙いやすくなったな!」俺はそう言うとソウルジェムを死霊の短剣にくっつける。
「魔力注入したぞ! マヤ!」俺は言う。
「え? 全然魔力流れて来ないけど……」マヤが言う。
「えっ? こうするんじゃ……」俺はカチカチと短剣の柄の部分にソウルジェムをくっつける。
「クロード駄目だ! まったく流れてこない!」マヤが叫ぶ。どんどん近づいてくるドラゴン。ドラゴンは口をパカッと開けて俺達に火のブレスを吐こうとする!
「くっそおおおおお!!!」俺は左手にソウルジェムを強く握った。
するとソウルジェムが強く光る! 俺は俺の体を通してマヤに魔力を注入した。右手にもつ死霊の短剣に魔力が流れ込む! 俺の全身に違和感が走る。まるで血管の中を虫が這いずり回るような違和感。自分の魔力と異なる魔力を自分の体に流し込んだせいだろう。
「凄い! クロード! 魔力が来たよ!」
俺の体に青白く光り輝く血管のようなものが浮き出る。俺の魔力回路が目に見えるように輝いている。これだけのことをしたんだ。当然だ!
ドラゴンはこちらに近づきついには炎を吐き出した!
「うおおおおおおお!!」俺は叫ぶと死の嵐を発動した。マヤの体は紫色に光り輝きく。マヤは両手を真っ直ぐに伸ばす。マヤから紫色の突風がドラゴンに襲いかかる!
「!」炎はすぐそばまで来ていた。俺は思わず目をつむる。
「!……」まだ俺は生きている。目を開くとマヤが微動だにせずにドラゴンを見つめていた。俺のそばまで来ていた炎は小さく細くなって地面に落ちていた。
「ドラゴンは……」俺はドラゴンを見るとドラゴンも微動だにしない。するとそのドラゴンの肉体にビキッ! とヒビが入った。ボロボロとドラゴンはその体を崩壊させ地面にグシャっと落ちた。
「やったーー!」俺は叫んだ。すると村人がおおおおお!! と叫んで俺に近寄る!
「すげぇなあんちゃん!」
「今の見たか! 一発でドラゴンが死んだぜ」村人は俺を取り囲んで褒める。
「エヘヘへ……ちょっと待って!」俺は両手で村人を制した。
「まだ家が燃えている! みんなで消そう!」俺が言うと
「おっそうだな」と村人は言って散り散りになって消火活動に励んだ。
「ふぅ……」俺も消火活動に参加し、村の火は全て消えた。あとは燃えて黒くなった家の残骸だけがあった。
「大変じゃったのう……」と最初俺にドラゴン退治を依頼してきたおじいさんが声をかけてきた。
「ありがとう! あんたのお陰で村は救われた。だがほとんど家も燃えてしまってこれからどうすれば良いんじゃ……」おじいさんは嘆く。
「おじいさん。俺、赤ん坊を助けられなかったよ……家の中を何度も探したんだけど、見つからなくって」俺は言う。
「そりゃそうじゃろ! 赤ん坊なんかおらんからな!」とおじいさんは言った。
「えっ?」俺は聞く。
「あーでも言わんかったらお前さん村を助けてくれなかっただろ! 赤ん坊なんか最初からおらん!」おじいさんはそう言う。
「えっ? あっ? はぁあああああああ!!!」俺は叫んだ。
俺の叫び声で村人が、なんだなんだと近づいてくる。
「ふざけんな! クソジジイ! 俺は家の中で死にかけたんだぞ! 赤ん坊を救うために! 」俺はジジイに詰め寄る。
「だからそれは謝っただろ。騙してすまんかったって。でも最終的に村を救った英雄になれたんだぞ。それでいいじゃろ」ジジイは言う。
「はぁ? ふざけんな! お前! 人の親切心をなんだと思ってるんだ!」
「お前がさんが勝手に助けに行ったんじゃろ! その行動の責任はお前さんが取るべきじゃ!」とジジイは言う。
俺は押し黙ってしまった。なんだこのジジイは……
「ふん! ワシはこの村の村長じゃ! 村を救うためならどんな手段だって使うわ! 例えそれが初めて出会った旅人を犠牲にしてもな!」ジジイはそう言った。
話にならない……なんだこいつ。
「じゃあお礼の金は?……」ダメ元で俺は聞いた。
「村がボロボロな状態で金なんて出せる訳がないだろう! たわけたこと言うのもいい加減にせんか!」親父は怒り出した。なんだこいつふざけんな。
「あの……これ」と小さな女の子が小さな花を一輪俺に手渡してきた。
「えっ? これは」俺が聞く。
「村を救ってくれたお礼です」その女の子は言う。すると俺を取り囲んでいた村人から拍手が起こった。
「ありがとう。助けてくれて」
「君のお陰で救われたよ。ありがとう」口々にそう言う。俺はなんだかなにも言えなくなった。
「ふん。これでいいじゃろ。立派な英雄には称賛だけで十分だろ! 分かったからさっさと村から出ていけ!」村長のジジイはそう言う。
俺はショックを受けてフラフラと村をはなれる。
「おい! ちょっと待て! ソウルジェムを渡したハズじゃ! 返せ!」村長はそう言うと俺の荷物からソウルジェムを奪い取った。
「ありがとう! 旅人さん」
「ありがとう」俺にはその感謝の言葉が虚しく聞こえた。
「あっ! あの!」さっきの小さな女の子が追いかけてきて俺に話しかけた。
「あのっ! お名前聞いて良いですか?」
「クロード・シャリエです。よろしく」俺は頭がぐらんぐらんしながら言った。
「あっ! お気をつけて! クロードさん!」その女の子は俺に手を振って見送った。
一体何だったんだこの街での出来事は……騙された俺が悪いのか……あぁもうムシャクシャする!
「うわぁぁぁぁん! クロード悲しいよぉ!」と言いながらマヤが俺に抱きついてきた。
「おっそうだな。悲しいな」俺は答える。
「なにがあっても絶対私クロードの味方だからね! どんな時も一緒だよ!」と言いながらマヤは俺の胸の中で泣く。
「あぁ! マヤ! どんなに世間が冷たくても二人は力を合わせて歩んでいこうな!」俺もマヤを抱きしめ泣いた。
「でも出会って数時間だからそこまででもないかなぁ」マヤが急に冷静になって顎に人差し指を置いて言う。
「マヤ一体どっちなんだ……」俺は呟いて歩みを進めた。
「お前はいらない」とメンバーから理不尽なパワハラで追放された俺。【古代の武器と喋る力】で最強の古代武器を手に入れる。これからは聖杯を手に入れるために【本当の仲間たち】と一緒に冒険に出ます。 水ManJu @mizumanjuu
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