ドラゴン
俺はダンケルクまで歩いていると小さな街まで着く。するとなんだか叫び声が聞こえてきた。
「早く逃げろ! ドラゴンだ!」男が叫ぶ声が聞こえる。
「えっ?」俺はつぶやく。すると巨大な影が俺を覆った。俺は上空を見上げる。
「うおっ!」そこには巨大なドラゴンが火を吹いて旋回していた。ドラゴンは炎を吐きながら村を焼いている。
「うわああああ!!!」驚く俺。
「ん? どした? クロード」マヤはふわふわ浮きながら平然としている。
「いや! だからドラゴンだって! 早く逃げるぞ!」俺はマヤに言う。流石にあれはヤバイ。あれだけ大きいドラゴンは俺にも太刀打ち出来ない。
キャーーー!! キャーーー!! と村人が炎で焼かれた家から逃げ出している。まるで地獄のような光景だ。
「えー? 逃げるの? 倒そうよクロード」マヤがそう言う。
「いや、無理無理無理! さすがにあれは数十人がかりじゃないと無理!」俺はマヤにそう言う。
「大丈夫だよ。クロード。クロードとあたしの力なら……クロード。コマンド死の嵐を唱えてみて」マヤは言う。え? ひょっとしてこのアーティファクトとんでもなく強力なアーティファクトなのか……
「分かった!」俺はそう言うと死霊の短剣を抜いて水平に構える。
「マヤ! コマンド! 死の嵐だ!」俺は唱える。するとアーティファクトのアバターであるマヤは紫色に光りだした。短剣もそれと一緒に光りだす。
「うおっ!」俺はつぶやく。
みるみる内にマヤは紫色の光に包まれ、その光がどんどん大きくなる。信じられないほどの巨大な魔力がマヤに集まっている。ひょっとしたら、これならドラゴンを倒せるかも……
「いっくよぉークロード」マヤは言う。
「おう!」キュイーーーーン! マヤの体に魔力が集まる。すると……キュイーー………ン……どんどんマヤの体の光が小さくなる。
「ガックシ」マヤは肩を落として落ち込んだ。マヤの光はほぼほぼ消えている。
「マヤ? どうした?」俺は聞く。
「アハハ……魔力切れ」マヤはそう言って笑った。
ゴオオオオオオオオオ!! ドラゴンが俺たちに炎を吹いてきた。
「うわあああ!!!」俺とマヤは逃げ出す。
俺は壁の裏に隠れる。するとそこには大勢の村人が避難していた。俺は息を潜めて潜れる。
「お前さんそれは……」村人のおじいさんの一人が俺に話しかけてきた。
「いやぁ懐かしいのぉ。それは昔のアーティファクトのアバターじゃろ? まだ使える人がいるなんて」そのおじいさんは言う。
「あぁ。そうです。でも魔力切れでアバターを現界させるのでやっとで……」俺は言う。
「いや、待てよ……お前さんにお願いがある! ワシらの村を救ってくれ!」おじいさんは俺にそう告げてきた。
「ワシの家に巨大な魔力を秘めたソウルジェムがある。それでその武器の魔力補充が出来るハズだ。頼む! 若いの!」おじいさんは俺に頼み込む。
「はぁ? ドラゴンがいる村に戻れってことか?! 死んじゃうだろ!」俺は言う。
「頼む! ワシの家には赤ん坊がおるんじゃ! 産まれたばかりの……頼む! ワシらを救ってくれ!」おじいさんはそう言う。
「……」俺は思い悩む。しかし、これはさすがに……
「クロード……」マヤはなにか言いたげな様子で俺を見た。
「金ならいくらでも払う! 頼む!」おじいさんは土下座して懇願する。あぁ……クソっ!
「じいさん。あんたの家の目印は?」俺は聞いた。
「村の中で一番大きい家じゃ。ソウルジェムは食卓のところに飾ってある!」じいさんはそう言う。
「よしっ!」俺は飛び出して村の方まで走り出した。村はドラゴンによって燃やされていた。
「一番大きな家……あそこだ!」するとその家も例にもれず燃やされていた。俺はドアを開ける。家の中は凄まじい熱気だった。火の海ではないがところどころ屋内も燃えている。
「入るぞ。マヤ」
「うん」俺とマヤは家に入った。
食卓……ここか! 俺たちは大きなテーブルがある部屋まできた。
「あっ! あれか!」ソウルジェムはすぐさま見つかった。ソウルジェムは神棚のようなところに飾られていた。俺はそれを手に取る。
「あとは赤ん坊だ……おーーい!」俺は叫んだ。部屋中を探し回る。
「おーーい!」どこにも赤ん坊は見つからない。それどころか赤ん坊用のベッドすらも見つからない。えっ? どういうことだ。これは……俺は焦る。
どこにもない……焦る俺。赤ん坊はどこにいるんだ。あのじいさんはこの家に赤ん坊がいると言ったハズなのに……なんでいないんだ! 家の中の火の勢いがどんどん強くなる。
バキン! 火によって木の柱にヒビが入る音が聞こえる。バキン! ビキッ! 家の中から異音が響く。
「クロード! このままじゃ! この家火に焼かれて潰れちゃうよ!」マヤが叫ぶ。
「クソっどうすれば……」俺がつぶやくと
ゴオオオオオオオオオ!! というドラゴンの鳴き声とキャーーー!! という女の叫び声が聞こえてきた。ええぃ! クソっ! 俺は火に包まれた家を飛び出した。
すると道に女が倒れこんでいた。歩けないようだった。俺はその女性を背にドラゴンに向かい合う。
「マヤ! ドラゴンを倒すぞ!」俺は言う。
「よしっ! クロード! まっかせなさーい」マヤがふざけたように言う。ドラゴンは旋回していたが、俺達に気づいたようで一直線に俺たちの方に向かってきた。
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