気遣い・心遣いは人から人へ

登場人物】

南澤 翠恋(みなみざわ すいれん)

救急科医師兼看護師をしているエースドクターの1人

他の外来スタッフ に対してイラッとすることは多いが決して顔に出さない。

患者やスタッフに絶対に怒らない。



鈴村 晴稀(すずむら はるき)

同じ病院の整形外科で外科部長をしている

救急科の兼任もしている

救急科のエースの1人




琴葉 澪月 (ことのは みづき)

同じ病院の精神科の看護師と結婚して苗字が変わったが、翠恋には旧姓で呼ばれている。

精神科・整形外科・救急科の兼任で、相変わらず色んな病棟から呼ばれてどこにいるかわからない。



鈴縄 湊 (すずなわ みなと)

精神科の医局長を務めている。

湊も晴稀のように、たまに毒を吐くようになった。

救急科のフライトドクターの1人

救急専任の誘いが来ているが断っている

晴稀の妻の上司


鈴村 瑠華(すずむら るか)

晴稀の妻

精神科の看護師で救急科のナース1年目

湊の部下


【役表】

翠恋:♀:

晴稀:♂:

澪月:♀:

湊:♂:

瑠華:♀:



翠恋「おはようございます。」


澪月「翠恋ちゃん、おはよー!今日ヘリ当番よね?」


翠恋「そうですよ。」


澪月「雨止むといいわね」


翠恋「そうですね。このままこの雨だとヘリは飛べませんもんね」


澪月「そうね。私も今日ヘリ当番だからよろしくね。」


翠恋「よろしくお願いします。」


翠恋「ちなみに今日って25日ですよね?」


澪月「そうだけど何かあった?」


翠恋「いや、今日は鈴村先生が助っ人に来てくれない日なんですよね」


澪月「あっ、25日はそうね。大きな事件が起きないことを祈るしかないわね。」


翠恋「そうですね」


〜2時間後〜

カタカタカタカタカタ


澪月「ん?なんか揺れてない?」


翠恋「言われてみれば揺れてるような」


ガタガタガタガタ


澪月「強くない!?」


翠恋「強いです!」


澪月「どんどん強くなってきてる!」


翠恋「強いです!」


澪月「翠恋ちゃん危ない!早く潜って!」


翠恋「はい!」


澪月「大丈夫!?」


翠恋「大丈夫です。」


〜5分後〜

澪月「やっと治まったわね。翠恋ちゃん、大丈夫?」


翠恋「大丈夫です。櫻木先生こそ大丈夫ですか?」


澪月「私は大丈夫よ。」




救急科スタッフ「ドクターヘリ出動要請です。」


翠恋「救急科南澤です。」


救急科スタッフ「空閑市消防からです。20代男性、胸の痛みを訴えています。近場の病院は全て断られたのこと、心タンポナーデの疑いあり」


翠恋「ヘリ飛べますか?」


ヘリ担当「空閑市方面、視界回復。飛べます。」


翠恋「わかりました。ドクターヘリ出動します。」


ヘリアナウンス「ドクターヘリ出動 ドクターヘリ出動」


翠恋「お願いします。」


看護師(小声)「今日のヘリ担当、南澤先生か...」


澪月「看護師さん、南澤先生に文句があるなら降りてもらって構いませんよ。看護師さんは他にもいらっしゃるので」


看護師「私はなんにも...」


澪月「そうですか。」


看護師「私、やっぱり降りていいですか?」


翠恋「どうぞ?」


澪月「他のドクターかナース呼ぶ?」


翠恋「大丈夫です。私がナースの業務もやればいいだけなので」


澪月「そう。むりしないでね。」


翠恋「はい。」



ヘリパイロット「まもなくランデブーポイントに到着します」


救急隊「こちらです。」


澪月「医師の琴葉です。」


消防「こちら奥様です。」


翠恋「看護師の南澤です。状況を教えてください」


患者の妻(泣きながら)「2週間前に心臓のカテーテル手術をして、そこからいつも具合が悪そうで、病院には行ってたみたいなんですけど、詳しいことが分からないんです。それで急に倒れて...」


翠恋「そうなんですね」


澪月「これは確実に心タンポナーデね。今すぐ治療しないと間に合わない。開胸セット準備して」


翠恋「はい。」


消防「奥さん、落ち着きましょう」


患者の妻「は、はい。」


澪月「メス」


翠恋「はい。」


患者の妻が突然苦しみだした


消防「どうしました?」


翠恋「大丈夫ですか?」


澪月「行ってあげて。」


翠恋「分かりました。」


患者の妻「さっきから息がしずらくて。」


翠恋「ゆっくり深呼吸してみましょう。」


翠恋M「緊張性気胸か、やばいな。今私と櫻木先生しかいないし。」


澪月「南澤先生、報告してください。」


翠恋「奥さんが緊張性気胸の疑いがあります。」


澪月「エコーしてみて」


翠恋「はい。」


澪月「エコーみせて」


翠恋「はい。」


澪月「これは、完全に気胸になってる。まずいわね。私は手が離せないのよ。減圧ドレナージやったことある?」


翠恋「研修医の時に1度だけやったことあります。正直自信はないです。」


澪月M「変わってあげたいんだけど」


澪月「仕方がない。鈴村先生か鈴縄先生をヘリピストンしよう。」


翠恋「わかりました。伝えてきます。」


翠恋「ヘリピストンお願いします。」


ヘリパイロット「わかりました。」


翠恋「何分かかりますか?」


ヘリパイロット「病院到着まで約10分です。」


翠恋「わかりました。」


晴稀「鈴村です。」


翠恋「ヘリピストン行けますか?」


晴稀「すみません。今から緊急手術なんです。」


翠恋「わかりました。」


湊「鈴縄です。」


翠恋「ヘリピストン行けますか?」


湊「行けます。」


翠恋「7分後到着予定です。」


湊「了解です。」


ヘリアナウンス「ドクターヘリ出動 ドクターヘリ出動」


ヘリアナウンス「ドクターヘリ到着しました」


湊「行きましょう。」


瑠華「はい。」


湊「お願いします。」


瑠華「お願いします。」



ヘリパイロット「まもなく現場に到着します」


湊「了解です。鈴村さん、一応開胸セットも持っていきましょう。」


瑠華「わかりました。」


消防「こちらです。」


湊「はい!」


瑠華「はい。」


湊「失礼します。」


翠恋M「やっと来てくれた」


翠恋「心タンポナーデの患者さんの奥様が緊張性気胸で、今すぐ減圧ドレナージが必要なんです。」


湊「わかりました。南澤先生は琴葉先生のフォローをお願いします。奥様は私と鈴村さんでフォローしますね。」


翠恋「ありがとうございます。」


澪月「鈴村さんっていうナースの方の?」


湊「そうですよ。」


澪月「じゃあ鈴村さんと私のペアでもいい?鈴縄先生、南澤先生に減圧ドレナージ教えてあげて」


湊「わかりました。南澤先生行きましょう。」


瑠華「わかりました。南澤先生、変わります。」


翠恋「鈴村さん、あとお願いします。すぐに行きます。」




湊「減圧ドレナージはやった事ありますか?」


翠恋「研修医時代に1度だけやった事あります。」


湊「やってみますか?」


翠恋「やってみます。」


湊「わかりました。フォローしますね」




澪月「あとは医療センターで処置しましょう。」


瑠華「はい。」


湊「こっちは救急車で病院戻りましょう。」


翠恋「はい。」




晴稀「南澤先生!すみませんでした。」


翠恋「緊急手術だったんですよね。それは仕方がないことですよ。気にしないでください。」


晴稀「浮かない顔してますけど、何かありました?」


翠恋「そんな顔してないですよ?大丈夫です!」


晴稀「それならいいんですけど。何かあったら言ってくださいね。話聞きますから。」


翠恋「ありがとうございます。」



澪月「南澤先生、さっきはありがとうね。」


翠恋「櫻木先生お疲れ様です。何がですか?」


澪月「ドクターヘリが出動する時にナースが1人降りたでしょ?その時南澤先生がナースとしていてくれて、私すごくありがたかったの。」


翠恋「いえ。私は何もしてませんよ?」


澪月「ナースとして十分サポートしてくれたわよ?それだけで私は助かったの。」


翠恋「私、あの時鈴縄先生が鈴村さんを連れてきてくれたから、十分に回せたんだと思うんです。でももしあの時ナースが私1人だったら思うと櫻木先生、鈴縄先生どっちもに迷惑をかけてたと思って、今更ながら後悔してるんです。あの時フライトナースをもう1人呼んでいればって。」


澪月「今更後悔したって遅いのよ。って言いたいところだけど...」





救急科スタッフ「ドクターカー出動要請です。」


Prrr


澪月「南澤先生、すぐに来れる?」


翠恋「すぐに行きます!」


澪月「状況を教えてください。」


救急科スタッフ「氷空市消防からです。先程の地震で建物倒壊。負傷者1名のことです。」


澪月「了解しました。」


救急科スタッフ「まもなく現場到着します。」


翠恋「了解しました。」


澪月「医師の琴葉です。」


消防「倒壊した建物の下敷きになっており、10分前に救出しました。腹部外傷ありです。」


翠恋「救急科に運んでください。」


消防「はい!」


翠恋「血圧80の68脈拍140です。腹部に内出血あります。」


澪月「エコー見せて」


翠恋「はい。」


澪月「まずいわね。お腹の中に血液が溜まってる開腹セット準備して」


翠恋「はい。」


澪月「メス」


翠恋「はい。」


澪月「肝臓が傷ついてる。肝臓を縫合する。8ミリ」


翠恋「はい。」


翠恋「血圧戻ってきません。」


澪月「もう1回エコー見せて」


翠恋「はい。」


澪月「これって。もしかして」


翠恋「どうしたんですか?」


澪月「5ミリ用意しておいて。」


翠恋「はい。」


澪月「やっぱり。横隔膜が切れてる。5ミリ」


翠恋「はい。」


翠恋「血圧、脈拍ともに戻ってきました。」


澪月「良かった。これで縫合します、9ミリ」


翠恋「はい。」


澪月「縫合完了」


翠恋「森戸川医療センターに運んでください」


消防「了解しました。」


翠恋「櫻木先生、医療センターに帰りましょう。」


澪月「そうね。あとはお願いします。」


Prrr

澪月「琴葉です。」


晴稀「琴葉先生!整形外科で急変した患者で複数人出て、今いるスタッフだけだと対応しきれません。琴葉先生、ヘルプお願いします。」



澪月「分かりました。今ヘリ乗ったので10分持たせてください。」


晴稀「わかりました。」


澪月「さっきの患者、あとは任せてもいい?」


翠恋「大丈夫です。」


澪月「整形の急患処置終わったらすぐ戻ってくるから」











































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忙しい毎日 瑞澤凛華 @Rinka_Mizusawa

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