少女がみた少女
バブみ道日丿宮組
お題:うわ・・・私の年収、話 制限時間:15分
少女がみた少女
「うわ……ねぇ、あたしよりあんたの年収低いってどういうことなの? この国の法律おかしいんじゃない?」
『どん!』と机を叩いたのは同居人であり家主である少女。
まだ中学生でありながら、大企業の社長であったりもする。
「え、えっと、ちょ、ちょっと失敗しちゃって」
はぁとはっきりと聞こえるため息が重い。
しまいには私の給料明細手できられちゃった……よ。
「どうせあんたのことだから人付き合いを大切にって、自分の仕事をおろそかにして上司からの評価が低くなったんでしょ?」
「そう……だけど」
ふんとそっぽを向く少女は少しだけ、口元を緩ませてた。
「あんたもうちのところに入ればいいのに」
名案が浮かんだとばかりに少女は立ち上がり、私を見る。
小さいからちょうど私がちょっと見上げるぐらいの位置で見せる少女は異性でも困惑してしまうほどの笑顔だった。
ラブレターの数、告白された数も数千とか聞いたから……そうしてしまうのもわからないわけでもない。
「さ、さすがに、そ、それは身内びいきって言われちゃうよ」
今でさえ家賃を払わず、3LDKの1部屋に住まさせてもらってるのにーーこれ以上なにかしてみたら、あの女性は少女よりも能力が劣っており、なおかつ満足な生活も少女なしではできないらしいぞ……なんて噂がたってしまう。
「そんなことはないわよ。別にあたしの会社にいる連中なんて、ほんとにほんと身内よ? 大体仕事してるのなんて執事たちなんだから、あんたが入ったところで別に何も思われないわ」
その執事さんたちから嫌な視線を浴びるから嫌だと口に出せない。
「執事が嫌なら、いない職場も用意できるわよ」
「……うう」
図星のようねと少女ははぁとまたため息。
「あんなのはあたしによりつく悪い虫を見定めてるだけ。でも、あんたは違う。あんたは小学生の時悩んでたあたしを立ち直させてくれた。誰でもないあなたがよ?」
一呼吸入れると、
「お母様、お父様、他の親族ができなかったことをあなたができた。あたしはそんなあなただからそばにいてほしいの。変な会社で下手に使われるよりね」
座り直し、真剣な視線を向けてきた。
「だから、そろそろ恩返しをさせてほしい」
私がしたのは……ただのアルバイト……、児童相談所で困ってることを相談するっていう話すだけの仕事だった。
そこでこのお嬢様のお話を聞いて、解決へとなぜか導いてしまった……という過去があったりする。
「う、うん……そろそろ決めなきゃいけないのかもしれない」
にぱと少女は少女らしくはにかんだ。
少女がみた少女 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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