蝉と蛍

音澤 煙管

はぁ〜ベンベベンッ






気が付けばもう手遅れで、

目の前の君はもう居ない。


半信半疑で過ごしてきた、

あっという間の楽しい時も。


今思えば悔やむ思いで、

陽も落ち寂しい夕暮れどき。


いつもは二人で眺めて過ごし、

星見つけてはバイバイと。


風と一緒に去る二人、

連なる街灯が滑走路。


家路に着けば思い出す、

次も笑顔で会えるかな?


今はもう幻影に、

季節は同じに汗騒ぎ。


蝉はまだ鳴かぬ頃、

蛍はまだ水の中。


土の中の年月と、

陽射しの下で鳴く時に。


蛍は黙って身を焦がし、

蝉だけ恋に騒がしく。


二人はどっちか?空見上げ、

月が出てきて笑われた。


「 恋に焦がれて鳴く蝉よりも

鳴かぬ蛍が身を焦がし 」


ぼくは一生蝉のまま、

蛍は遠い空へ舞う。


月笑う隣に流れ星、

蛍は流れて消えてった……



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蝉と蛍 音澤 煙管 @vrymtl

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