第40話
店の客がひいたのは閉店時間を1時間もすぎてからだった。
昼過ぎに店にもどったサリエは目を丸くし、大急ぎで店の手伝いをしてくれた。
「もう、くたくたよ」
外は暗くなり、ローズはカウンター内で大きくため息を吐き出した。
「すごい売り上げ。今まで見たことないわ」
サリエが今日の売上金を確認して、《信じられない》というように首を左右に振った。
「これも、アリムのおかげね」
「そんなにいい兄だとは今まで気づかなかったわ」
そう言って2人して笑ったとき、再び店のドアが開いた。
「ごめんなさい、もう閉店――」
と、いいかけてローズは口を閉じた。
そこ立っていたのは客ではなく、アリム。
その横に久しぶりに見る母親の顔。
そして、後ろには元国王と魔女の姿まであったのだ。
「これ……一体どういうことなの?」
「後ろの2人は道端で喧嘩してるところに出くわしたから、連れてきた。
この人は、店からかさらってきた」
そう言って、アリムはローズの母親の背中を押す。
「家族は一緒にいるほうがいい。そうだろ?」
その言葉に、サリエが大きく頷いた。
「みんな一緒にここで暮らせばいい。少し、狭いけどな」
アリムはそう言いながら、サリエの手をとって店の奥へと入っていく。
「あとは、家族で話し合え」
すれ違いざま、ローズにそう言って。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます