第11話

翌日、すっかり体調の戻ったローズはアリムと一緒にホワイトの背中に乗っていた。



今日は天気も晴れていて、この調子でいくと夜には国に帰ることができそうだった。



ローズの父で国の王、トクイアン王に会えるのも、もう少し。



「ねぇ……」



後ろにいるアリムへ声をかける。



「なんだよ」



「あたし、帰らなきゃダメ?」



その言葉に、アリムは「はぁ?」と、笑う。



「ここまで来て塔に戻る気か?」



「そうじゃないけど……」



言いながらも、浮かない顔のローズ。



「何か――」



『あるのか?』



と、聞こうとした瞬間、ホワイトが急に下降を始めた。



フワッと浮き上がる感覚に、ウロコを強く掴む。



「ホワイト、どうした!?」



声をかけても、返事がない。



「くそっ! ローズ、振り落とされるなよ!?」



「わかった!」



最初は緩やかな下降だった。



しかしそれは次第にスピードを上げ始め、地上に着地する寸前、ホワイトは完全に飛ぶことを止めてしまった。



ドサッと音を立てて地面に着地すると同時に、ローズとアリムは背中を降りた。



「おい、ホワイト?」



ホワイトは大きく呼吸を繰り返し、目を閉じてグッタリしている。



「一体どうしたの?」



「わからない……」



(まさか、昨日食べたドラゴンレッドのせいか?



でも、あれは竜の食べ物だ。



ホワイトの体に悪さをするはずがない。)



グルグルと考えをめぐらせていると、ローズがホワイトの瞼をこじ開けた。



「充血してるわ。熱が出てるのかしら」



「どうすればいい?」



「水分持ってたわよね? それを飲ませてあげて」



ローズに言われ、アリムは慌てて腰から下げていた水筒を取り出した。



「いい子だから、いう事きけよ」



水筒をローズへ渡し、ホワイトの口を無理やり開かせる。



白い牙が、ギラギラ光っている。



ほんの少しできた隙間に水筒をねじ込み、「飲んで!」と、ローズは言った。



「いつから体調が悪かったのかしら」



「わからねぇ」



とにかく、日中は気温が上昇するからそれから守る必要があった。



「葉っぱで影を作るのはどうかしら?」



「でも、ホワイトを移動させるのは無理だ」



だとしたら……。



ローズとアリムは目を見交わせた。



葉っぱを、ここへ持ってきて、屋根を作ればいいのだ。



そうと決まると、ローズとアリムは近くのオアシスへと歩き出したのだった。

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