第6話

虹鳥は隔離された塔の中から見える、唯一の鳥だった。



高い場所まで飛んでくるので、窓にとまって一緒に過ごしたこともある。



だから、ローズはそれを食べてしまうという発想が衝撃だったのだ。



「あの、あたし……その鳥は食べられないわ」



「どうして? あぁ……ちゃんと羽はちぎって焼くぞ?」



羽が付いたままなのが嫌だと勘違いしたアリムは、片手で虹鳥の羽を数本引きちぎった。



「やめて!」



思わず、叫ぶ。



アリムに悪気がないのはローズだってわかっている。



でも……あまりに残酷に見えてしまった。



「なんだよ。羽がない方が食べやすだろ?」



「そうじゃないわ! あなたって最低!」



「はぁ? 意味わかんねぇ……」



「もういいわ。元々これはあたしの物語に不似合いなストーリーだもの。こっちから願い下げだわ」



言い捨てて、洞窟の出口へと向かう。



「どこ行くんだよ!」



「どこだって関係ないでしょ!?」



そう怒鳴ると、もう後ろからアリムの声は聞こえてこなかったのだった……。

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