第4話

灰色の空はやがて真っ黒へ変わり、大粒の雨を降らせ始めた。



青年は突然の土砂降りに顔をしかめ、「ホワイト! 近くの洞窟に着地しろ! 急げ!」と、乗っている竜へ指示を出した。



ホワイトと呼ばれた竜は小さくコクコクと首を縦に振って頷くと、急下降を始めた。



「飛ばされんなよ」



青年はローズへ声をかける。



しかしローズは風と雨に言葉を遮られ、返事する余裕もなかったのだった。



それから数分後。



幸い近くに見つけた洞窟の中に2人と一匹は非難していた。



外はゴーゴーと音を立てて雨が降る。



青年はボロボロの服の裾をギュっとしぼって、雨のしずくを落とした。



洞窟の中は真っ暗で、ゴツゴツとした岩肌が足に刺さってローズは顔をしかめた。



青年に無理やり連れだされ、靴も用意していなかったのだから当然だ。



「ホワイト、火を」



青年は洞窟の中に散らばっていた小枝をかき集め、竜に言った。



ホワイトは小枝へと向き直し、それに向けてゴォォォと爆音を轟かせながら火を噴いた。



一瞬にしてその火は小枝へと移り、辺りは明るく照らしだされた。



「服を乾かせ。風邪ひくぞ」



青年に言われ、ローズは恐る恐るその火へ近づく。



この土地は昼は暑いが夜は一気に冷え込むため、濡れたままでは命取りにもなりかねない。



「あなた……名前は?」



ローズはようやく自分から口を開いた。



「俺? 俺はアリム」



「あたしはローズよ」



「あぁ。さすがに、名前くらいは知ってる」



アリムはそう言い、歯をのぞかせて笑った。



パチパチと音を上げるたき火に背を向けて、アリムはあぐらをかいて座った。



ローズも同じ向きに座り、その顔を見つめる。



「なんだよ」



「あなたって、不思議」



「どこが?」



「どこがって……どこもかしこも、全部よ。常識はずれ」



「喧嘩売ってんの」

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