日常じゃない

@Yuna11

第1話

「あと1か月」


しのぶは、起きてカレンダーを見上げて溜息をついた。


あと1か月でしのぶは、29歳が終わってしまうのに恋愛というものをまともにしたことがない。


それはこの外見のせいだと生まれながらのコンプレックスを親のせいにしてきた。

スタイルも良くないし、顔も普通。

いや、顔はまあ、普通なのに、問題は体系。

どうして、どうしてだ

170センチの長身で女の子とは程遠い青春時代を送ってきた。

中学校時代からのバレーボール部のエース

そのまま推薦で高校に進学。


刈り上げたようなショートカットで、女子だけにはなぜかもててきた。

バレンタインデーに、後輩からチョコも沢山貰えた。


でも、男子にはもてない。


「デカ女」

こうやって陰で呼ばれてるのは分かってた。


好きだった先輩も、


「やっぱり華奢で細い子が好き」


って話してたのを廊下で聞いた。


告白なんて最初から無理。


全部全部諦めてきた。



それでも大人になったら少しは恋愛ができるかなと思ってたのに。


全然。まず合コンにはお呼ばれしないし、

付き合いで一度だけ行った会では、お笑い役で終わってしまい、結局男の子達は、小さくてかわいくてあざとい女の子の方にしか行かなかった。

私は、無駄に時間とプライドを浪費して、帰るしかない。


くだらない。


だんだん、そんな口癖も出てくるようになってしまった。


ああ、このまま終わってしまうのだろうか。



そうやって溜息ばかりついて、朝が過ぎていく。


しのぶは、洗濯と着替え、身支度をして、いつものように会社に向かった。


街も行きかう人も大して変わりないような日常がただ過ぎていく。


こんな自分に新しい出会いなど期待してはいけないのかもしれない。



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