海辺の町に生まれ育った「私」は、結婚してから、久しぶりに帰郷する。一人で砂浜へ行った「私」は、ふと、父親のことを思い出してしまう。描かれる光景と主人公の心情が溶け合う作品。青い海の美しさとともに、そこに潜む怖さも、しっかりと直視しています。一つの出会いが、彼女にとって転機となる様子が、繊細に描写されています。硬くなった心がほどけるような読後感でした。