ローズマリーとたくさんの宝石

仲仁へび(旧:離久)

第1話



 ローズマリーとたくさんの宝石「ハッセ・クロスバード」



 あるところに、綺麗な羽をもった雌鳥がいます。

 その鳥の名前は、ローズマリー。

 ローズマリーはどんな鳥でも見とれるほど美しい鳥でしたが、友達のいない孤独な雌鳥でした。


 そんなローズマリーは、宝石の場所が分かる特別な鳥です。

 綺麗な石ころが好きだったローズマリーは、いつも宝石を見つけて、自分の巣へとせっせと運んでいきます。


 ある時、ローズマリーは怪我をしてしまいました。

 それはささいな諍いが原因です。他の鳥と喧嘩した事で傷を作ってしまいました。


 数日経ちましたが、喧嘩でできた怪我はなかなか治りません。

 自由に空を飛べなくなってしまったので、ローズマリーは困っていました。


 しかし宝石を食べると、その怪我が良くなっていく事が分かりました。

 それが分かってからローズマリーは、毎日一個ずつ宝石を食べる事にします。


 けれど、宝石はローズマリーの大切な宝物。

 できれば食べたくはありません。


 ですからローズマリーは、知り合いの鳥に様々な事を聞いて、怪我を治す他の方法がないか調べていきました。

 そのうちにだんだん、体に良い薬や、食べ物、行動について詳しくなっていきました。


 けれど、その頃にはもうローズマリーはすっかり良くなってしました。

 宝石が少なくなってしまったけれど、その代わりに健康です。


 また綺麗な宝石を集めよう。

 そう思って羽ばたいたローズマリーは、同じように怪我をしていた鳥を見つけます。


 それはローズマリーに様々な助言をしてくれた雄鳥でした。

 物知り博士と言われる、とても賢い雄鳥です。

 しかし、そんな彼でもすぐに怪我を治す事はできません。


 ローズマリーはしぶしぶ、集めた宝石をその物知り博士へと譲りました。

 すると、宝石を食べた物知り博士も、ぐんぐん怪我が良くなりました。


 その話が広まると、他の鳥たちも怪我を治すために、宝石を食べ始める事になりました。

 そのため、ローズマリーが素敵な宝石を集められなくなってしまったので、毎日がっかりして過ごすことになりました。


 けれど、以前と違って多くの鳥がローズマリーに話しかけるようになりました。

 一緒に遊んでくれる友達が多くできるようになったのです。


 宝石はなくなったけれど、ローズマリーはたくさんの鳥の仲間を得たのです。

 孤独でなくなったローズマリーは、他の友達と一緒に旅に出る事にしました。


 新たに綺麗なものはないか、わくわくとどきどきを胸に秘めながら。


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ローズマリーとたくさんの宝石 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

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