そのお花の名前は…

お花の名前は…

双子 モキュ 他もぶ

SE：チュンチュン(鳥の鳴き声)

笑顔：優しげな歌声(ハミング)

小学生男の子：あ、いたいた、いつもあの空き地の大きな木の下で歌ってる女の子

小学生女の子：一体誰？

小学生男：分からない、でもあの歌を聞くとすごく――

笑顔：ねぇ、君たち

小学生男女：は、はい！！

笑顔：私に何か用？

小学生男：い、いえ別に！帰ろ(ぼそ)

小学生女：そのお花は？

小学生男：おいっ

笑顔：このお花？

小学生女：しゃがみこんでスカートまで汚れてるのに、どうして木にお花を添えてるの？

笑顔：それはね、話すと長くなる

――

回想 下校

素直：今日の音楽の時間楽しかった…、あ、笑顔ストップ、あの木って

笑顔：うん？どうしたの？素直

素直：あんなに大きな木、あったけ

笑顔：普段はすぐ通り過ぎちゃうから

素直：どうやって育つんだろう

笑顔：きっと何千年もかけて大きく育ったんだよ

素直：へえ、ちょっと寄って行かない？

笑顔：えー、いいよ、だってもうすぐ暗くなるよ、門限過ぎちゃう

素直：ちょっと暗い平気だよ、笑顔は真面目なんだから

笑顔：私は素直のこと思っ…

素直：ふーん

笑顔：素直の分からずや！

素直：笑顔なんて嫌い！

素直：素直なんて嫌い！

素直、笑顔：ふんっ

―――――――――

モキュ：素直、笑顔！大変モキュ、敵の気配モキュ

笑顔：知らない、勝手にすれば！

素直：あっ笑顔どこ行くの

笑顔：帰るの、だってもう暗くなるよ

素直：ちょっと、モキュちゃんが敵がいるって

笑顔：素直が一人で倒せば

モキュ：素直、変身しないとまずいモキュ、敵がすぐそこまで来てるモキュ

素直：何よ、笑顔のバカ、私一人だってやれるんだから、見ててよ、しっかりしてる所見せて見直して貰うから(独り言小さく呟く)

モキュ：笑顔は引き留めないモキュ？

素直：いいの！私一人でもやれる！

～変身～

素直：さあかかってきなさい！

巨大な大きな敵：腹減ったぞぉ

素直：で、でっかい、このうさちゃん

敵：こんな所に食い物が

素直：え！ちょっ、私は食べ物じゃないよ

SE：ドカァ

素直：きゃあ

モキュ：一人じゃ無理モキュ！やっぱり笑顔を呼んで

素直：ダメ！一人でやらなきゃ、笑顔に呆れられる

モキュ：素直…

素直：ちょっと膝擦りむいちゃった、けどそんなにお腹が空いたらこれでも食べてなさいっ、巨大なぺろぺろキャンディ！そーれ(ピコン)

敵：いたたたた！頭打ったぞぉ

素直：やった！効いて…る

敵：お前かぁ、今俺の頭を打ったのは、許さないぞぉ！

素直：ひ…

――――――

その頃 笑顔

笑顔：素直のバカ、なんで私の気持ちわかってくれないの

笑顔：でもちょっと言いすぎたかもしれないけど

笑顔：ううん、たまには…私が居ないとダメって事を知ってもらわなくちゃ

モブ：やーいやーい、バカ猫ー

笑顔：ん？コラ！何してんの！

モブ：やべっ(逃げる足音)

笑顔：いじめられてたの？可哀想に

猫：にゃあー

笑顔：あれ、どこ行くの？ついてこいって？

猫：にゃあ

笑顔：ここは、お花屋さん

モブ：いらっしゃい(優しそうなおばあちゃん)何かお探しですか？

笑顔：いえ…

モブ：花はね、自分の代わりに語ってくれるんだよ、感謝の気持ちも、好きって気持ちも、だからね、本当に好きな人には花を贈るの、自分の気持ちを伝えたければね

笑顔：自分の気持ち…

笑顔：あ、あの…一番大好きな人と、喧嘩して、それで素直になれなくて、仲直りしたいのに、…私って本当に馬鹿

モブ：そこに明るいオレンジの花があるでしょう？それをあなたの大切な人に贈ってあげなさい

笑顔：この花は？

モブ：この花の意味はね

―――――――――――

素直：痛い！はぁはぁはぁ(息切れ)

SE：ドカァ

素直：くっ、コン・フオーコ！

敵：何だそれも食ってやる！

SE：もぐもぐごくん

素直：ダメだ、私が放った音魔法全部食べられちゃう

素直：こんなんじゃ笑顔にまた嫌われちゃうよ

敵：さあて、そろそろメインディッシュの時間だ

素直：ダメ、笑顔に認められるって決めたんだから、あなたになんか負けない、そんなに食べたいならもっと食べさせてあげる

素直：これが私の全ての音楽！さあ、食べなさい

敵：ご馳走だ！美味い美味い

敵：うう、腹が痛いぞ

素直：さすがに食べすぎたみたいだね

敵：うわあ、音が腹の中で暴れて

素直：ふふ、ちょっと刺激の強いものも入れてみたの

敵：ご、ご馳走様ぁ！(破裂する音)

素直：や、やった…倒した

素直：あはは、ねぇ、やったよ、一人で…笑顔、どこにいるの？私も一人で出来たよ、ねぇ、凄い…でしょ、褒めて

―――――――――

笑顔：素直……

モキュ：一人で倒したモキュ、敵を、一人で、自分の音を犠牲にしてまで、心臓の音さえ

笑顔：素直！！起きてよ、嘘だよね、こんなの絶対嘘だよ

モキュ：もう起き上がれないモキュ

笑顔：ねぇ素直、私は、まだ、何にも伝えられてない…(涙声)

――――――――

モブ小学生女：とっても悲しいお話

モブ小学生男：それって本当の話なのか？

笑顔：君たちの解釈に任せるよ

モブ小学生女：そのお花は？その死んじゃった女の子にあげてるの？

笑顔：うん、毎日買ってここに置いておくの、そうするとあの子に私の本当の気持ちが伝わるんじゃないか…って

モブ小学生女：そのお花の名前は？

笑顔：カリフォルニアポピー、意味は

笑顔：私を拒絶しないで下さい(泣き崩れる)

笑顔：(暫く泣いている)

笑顔：ごめんね、みっともない所を見せて、皆もこの子の為に歌ってくれる？

小学生女：うん…

小学生男：どんな歌を歌えばいいんだ？

笑顔：お姉ちゃんに合わせて、世界一優しい歌、あの子が天国でも笑っていられるように

エンディング：ハミングが響く

終わり