第14話ゴールデンクラッシャー・エイリアン【ショートショート】

私はナナシ、今回はオカルト好きの山本氏から教えられた、不幸を呼び込む宇宙人の話をいたします。




山本氏の話によると、すでに地球には数多くの宇宙人が存在しているようです。


その発言に私も同意見でした。


宇宙は広大なのです。


ならば、宇宙人も存在し、宇宙人が地球に住むということも可能性があると、数々の奇妙な経験をした私は思いまた。


しかし、山本氏から告げられた言葉で、私は自分の思考の甘さを痛感したのです。


なんと、この地球は何度も滅亡の危機があったらしいのです。


人間同士の戦争で、核爆弾が使われそうになったという現実的な出来事ではなく、想像絶する事がこの地球を舞台に行われていたのです。


それはなんと、魔王・凶悪な宇宙人・未来からの生物・魔人・更に破壊神からの襲撃だというのです。


その驚異から地球を守った人物が存在したと、山本氏から教えられました。


私は人知れず、世界を救うその人物に、私と同じ意志を持つ同士だと思いました。


しかし、山本氏からその人物の強さを細かく聞く内に、多くの疑問が浮かんで来たのです。


その人物は、惑星をいとも簡単に破壊できるほどの強敵と戦い勝利したそうです。


その時の勝利の決め手は、その人物の髪の色が黒髪から金髪に変わった事にあると言う事でした。


しかも、ブリーチなどの髪を脱色や髪を染めたりもせずに、瞬時に金髪になったようなのです。


というよりも、どうして金髪なると強くなるのでしょう?


そして、私の明晰な頭脳は答えを導き出したのです。


平凡な中学生が夏休み中に粋がって、金髪にしてしまうという、アレではないかと。


しかし、あの金髪は見た目が怖くなっただけで、中身は平凡な中学生のままです。


強さは変わっていません……私はまた疑問につまずいてしまいました。


その問いに山本氏から発言の中から、需要なヒントを発見したのです。


その人物は怒りが頂点に達したとき、金髪へと変身し強大な力を身に付けたようなのです。


何ということでしょう……怒りが頂点になると金髪になり、強大な強さを手に入れるとは、やはりその人物は人間離れした精神と肉体を持っているのだろうと、納得してしまいました。


確かに人間は怒りの頂点に達すると、通常以上の力を発揮することもあります。


私の友人で美少女研究家の小川氏は、女性のスカートの中を盗撮し、それが見つかった時の事です。


瞬時に「ボクはやってない!」と逆ギレし、その後の逃走する速度は、尋常なスピードではありませんでした。


肥満体の体では到底出せるスピードではありませんでした。


きっと、そういう事なんだろうと納得仕掛けた時、私は大きな落とし穴がある事を忘れていました。


そもそも、人間は怒っても金髪にはなりません。


私は小川氏を怒りの頂点にさせた事があります。


それは、私が彼の大好きなアイドルのレアグッズを無断でネットオークションで販売していました。


それがバレたとき、山本氏は仁王像の如き顔で激怒しました。


その時は、体を震わせ私を怒鳴り散らし、肥満でたるんだ腹部の脂肪がタルンタルンと揺らしただけでした。


そうです、人間は決して激怒したとしても、金髪などにはなりません。


私は頭を抱え悶絶し、唸り声上げ、のたうち回っていました。


すると、私を見てドン引きしていた山本氏が、一筋の光明を与えてくれたのです。


それはまさに青天の霹靂、山本氏から衝撃の事実が語られたのです。


なんと、その人物は宇宙人だというのです。


私はその答えに、宇宙人なら仕方ないな〜、と短絡的に思ってしまいました。


その後、その人物は強敵が現れる度に、髪の色を黒→金→赤→青→白と変えるのです。


そして、髪の色が変われば変わるほど、その力が何万、何億、何兆と倍増して行くのです。


私はその証言に理解がついていけず、壁に頭を何度も何度も強打させ、その後、体がフラフラになりながら、頭からピューっと血を飛ばしてしまいました。


一体どんな進化を遂げれば、そのような髪の毛の変化と共に、強大な力を手に入れられるのでしょう。


人間の常識を遥かに超えています。


それは当たり前です。


その人物は宇宙人なのですから……しかし、あまりにも常識を逸脱しています。


金髪の時点で惑星を破壊する敵を倒すということは、金髪になったその人物は惑星を破壊するほどの力を持っているということです。


そうなると、その人物が地球で金髪よりも強大な力を持つ、青や白の髪の姿になってしまったらと思うと、私は恐怖におののきました。


その人物が仮にオナラをしたとしましょう。


そのオナラを排出するエネルギーは、想像絶する力があるはずです。


それはまさに、オナラという超絶兵器、放屁爆弾です。


そして地球は、その人物のオナラ一つで崩壊してしまうのです。


それを想像した私は、生きる事に絶望し、髪が真っ白になる感覚に襲われ、燃え尽きそうでした。


燃え尽き、灰になりそうな私に山本氏は、追い打ちをかけるように更なる、おぞましい真実を告げるのです。


なんと、その人物は強敵を呼ぶ体質を持っているようなのです。


それはその人物自身も自覚しているようでした。


私は思いました。


お前さえいなければ、地球は平和だったのにと……。


地球を何度も救ってくれた人物に、なんと罰当たりな事を私は思ってしまったのでしょう。


そして、私は頭から血を流し過ぎた為、気を失ってしまいました。


意識が失う寸前、山本氏の顔が私の視界に入りました。


私を憐れむ、その顔を……。




それから3日間、私は金髪をみると、元の髪色に戻したいという願望に取り憑かれたのでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ナナシは怪異(?)に好かれている ナナシ @nns8amehuri9

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ