ちょっと黙っておこうか
食べると言うワードを使ったら急に静かになった妖精たち。
「さて、どうしようかな」
妖精たちが集まってプルプルと震えてるんだけど、どうも演技くさい。少し前までの威勢の良さからの温度差が激し過ぎる。こいつらの言う事も態度も1ミリも信用できない。
ギンからも疑いの感情が取れるので、確実に嘘だろう。
「なんだか可哀想になって来た」
どこに目があるか分からないが、妖精がチラッとこちらを見てほくそ笑んだ……様な気がした。あくまでも感覚的に感じた感情だけど。
「反省したの? したのなら解放してもいいけど」
「した」
「反省した」
切り替え早っ。その場しのぎも甚だしい。
「じゃあ、解放するけど、もう私やホブゴブリンに悪戯しないって約束できる?」
「しない」
「悪戯しない」
「約束する」
「……約束破ったらもう容赦しないからね」
妖精たちが絶対悪戯はしないから解放して欲しいと嘆願。しおらしく、悲しそうな演技を披露する。
妖精たちに幾度も巻いた一部の紐を解放。一部分の紐が緩くなり喜ぶ妖精たち。
「取れたよ。もう悪戯はなしだから」
「ありがとう! なんて言うと思うかバカが!」
「絶対、森で復讐してやる」
「バーカバーカ」
やっぱりコイツら碌でもないじゃん。フッと笑みをこぼし言い放つ。
「バカはお前たちだって」
駆け出し、急いで逃げようとする妖精たちに繋げていた紐がピンと張った所で思いっきり引っ張ると全員が地面にひれ伏した。
酷いや痛いと文句を言う妖精を無視してズルズルと紐を引っ張り妖精引きずりながら回収。
「嘘つきだ」
「嘘つきがいる」
「嘘つきは自分たちでしょ!」
以前よりキツく紐を結び直し。6匹全員をまとめてぐるぐる巻きにする。
「妖精玉の出来上がりだね」
「キャウン」
「うどん、これで遊びたいの? 今日は先を急いでるけどちょっとだけね」
段々と言葉汚くて罵倒を続ける妖精は無視。妖精玉を投げるとうどんが猛ダッシュで追いかける。
数回繰り返した所で妖精たちはグッタリとしていたが、口はまだ動く様だ。
「うどん、もう行くから今日は終わり」
悲しそうに尻尾を下げるうどん。漂う哀愁が凄かったのでもう数回、妖精玉を投げる。
「キャウン」
「もう、今日は終わり!」
一応、妖精を調べる。妖精本当に凄い頑丈じゃん。余裕で大丈夫そう。
「ブス」
「悪魔」
「ゴブリン女」
「ビッチ」
「……うん。ちょっと黙っておこうか。ギン、入れ物よろしく」
久しぶりに出てきた一斗缶。中は炭の残りと名残がこびり付いている。これで十分でしょ。
まだ汚い罵倒を続ける妖精玉をポイッと一斗缶に入れ蓋をする。
「死なないよね」
「大丈夫だえ〜」
「じゃあ、ギンちゃん。収納よろしく」
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