コリンとの話

「コリン、久しぶり」

「カエデさんも、お元気そうで」


 コリンは、何度も冒険者ギルドと宿を訪れていたそうだが、商人を警戒して私の所在や伝言を拒否されていたらしい。

 結局、カイを訪ねたら、私が数日森に行っている時だった。仕方なく、カイに宿への言付けを頼んだそうだ。

 そこまで、冒険者ギルドが警戒する必要あるかが疑問。


「商人と冒険者って仲悪いの?」

「仲悪いわけではないが、商人は金に貪欲と警戒されているだけですよ」

「金に貪欲の何が悪いん?」

「はは。確かに」


 商人は中抜きをするけど、冒険者ギルドもそれは同じじゃね?

 冒険者の中には、二つのギルドを天秤に掛け商人と取引きする者もいるらしい。冒険者ギルドの昇級ポイントは貰えないが、お金は多く貰える取引できるということだ。

 その手があったのか。

 内心喜んだけど、お金はたくさんあるんだよね。もっとあっても全然良いんだけど、依頼とかそんなに積極的に受けたくないし。これからコリンに売り捌いてもらいたい賊のお宝もあるし。

 

「今日は、コリンにお願いがあってきた」

「恩人のカエデさんの願い、このコリンに出来ることであれば喜んで引き受ける」

「私の持ってる賊のお宝を商業ギルドに売ってほしんだよね。私、相場も価値もよく分かんないし、普通にカモにされそうなんだよね」


 多分、確実にカモにされる。冒険者ギルド長のマルゲリータがあのギラギラだよ? 商業ギルド長なんてゴールデン狸に決まっている。

 こちらの人に私は高校生くらいに見えているようだし、商業ギルドに行ったら髪の毛まで毟られそう。


「カエデさんの戦利品を? 確かにカエデさんを甘く見る商人は多いでしょうね」

「でしょ? コリンには、ちゃんと仲介料払うよ」

「いえいえ。それは頂かない。だが、この街で売るのは避けた方がよろしいかと」


 コリン曰く、この街の商業ギルドは今、イルゼの賞金首を持ってきた冒険者を探しているそうだ。

 コリンたちは賊のマルクスの報復を警戒して戦利品を先に売らず、すぐ換金できる物のみを厳選して売ったそうだ。

 商業ギルドが私を探しているという噂は、その後に聞いたという話だった。


「商業ギルドはなんの為に私を探してるん?」

「うーむ。詳しくは分からないが、碌なことではないと予想する」

「金に貪欲だから?」

「はは。でも、まぁ、そうだな」


 戦利品が売れないのは困る。お金が必要なわけじゃないけど、ギンのスペース問題がある。


「あ、カイやあの親子は? 戦利品持って行ったよね?」


 コリンがニッと口角を上げ説明をする。


「そちらは、既に話をつけている。カイさんの持ち出した物は、ご自分の為に使う剣や武具でした。アリアさんは、怪我とショックで荷物を運べず、心配する物はなかった」


 そういえば、カイは剣とチェーンメイルくらいしか手に取っていなかった。

 アリアは特に見てなかったけど、洞窟を出発する前日までほぼ寝てた。トレジャーハントはしてないかもね。


「そうなんだ。親子は?」

「ああ……彼女たちは、私たちのキャラバンに加わった」

「え! そうなの? この街に親類がいたんじゃなかったの?」

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