冒険者試験 2

「お前らは、こっちで…残りはエミリアについていけ」


 三十代男女と私たちは、ガークが担当。残りは、エミリアに案内され地下の試験場に向かう。地下は…やはり暗い。今朝、練習していて良かった。双子も不安はなさそうだ。カイの方は、少し緊張気味。


「先ずは、費用の銀貨一枚を払え。そこの二人は、銀貨五枚だ」


 三十代の男女は、ペナルティが溜まった事でギルドにタグを没収。冒険者の試験を受け直しているそうだ。受け直しは5倍の価格か。痛い出費だよね。ペナルティってなんだろう?? ガークに、それぞれお金を払う。


「おし。聞いてると思うが、試験は攻撃魔法、それから武器での戦い方を見せてもらう」


 聞いてない…魔法だけだと思った。エミリア組が魔法の試験場を先に使うので、ガーク組は武器の試験から始める。武器は、二つまで使っていいそうだ。武器か…スパキラ剣は、色々問題になりそうだから出さない。カイも双子も剣や短剣があるから大丈夫だよね? 森でも普通に使ってたし、振り回せばイケると思いたい。私の武器のチョイスは、釘バットとアイスピックだ。短剣でもいいけど、この二つがしっくりくるし、一番慣れている。


「なんだそれ?」

「釘バットです」

「…そうか。あーと…カエデか。じゃあ、お前からいけ」


 目の前には、数体の藁人形で作ったゴブリンがいる。普段通りの戦いで藁人形に攻撃をすると言う試験内容だ。攻撃力もだけど、俊敏に動けるのかを見るらしい。結局魔法は、長い呪文の所為で接近戦は不利だ。唱えてる間にヤられるって話。

 よし、行くか! 

 素早く走り出し、藁人形に回り込む。後ろからうなじを狙い釘バットで殴る。殴る。殴る。藁に釘が食い込み、余計な抵抗がする。余計にバットに力が入る。上下に動かしながら、釘バットを更に連打する。藁人形の首部分が折れて、皮一枚? 藁一枚? でぶら下がる。 次の藁人形に移る。後ろから飛び乗りアイスピックで目の部分を刺す。刺す。刺す。藁人形が私の重りに耐えきれず倒れる。倒れた後もなお、藁人形の目を刺し続ける。


「おい! もういいから! やめろ!」


 ガークが走りながら、こちらにやってくる。藁人形を確かめて、こちらをジト目で見てくる。『お前のせいで、藁人形を変えないといけない』と替えの藁人形を取りに地下の奥に向かったので、カイたちの元に戻る。


「どうだった?」

「いや…その…知っていたけど…」

「「カエデ凄い!」」


 あれ? ペナルティ男女から物理的に距離を取られてる気がするんだけど…

 

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