宿に到着
ゲオルドの案内で、冒険者ギルドの宿に到着する。ロワーで従魔が一緒に泊まれるのは、ここだけだと言う。
ゲオルドは、よく喋る。ゲオルドの家族構成や幼馴染の妻との馴れ初めを聞いたところで冒険者ギルドの宿に到着した。宿は冒険者ギルドの隣だ。
町の雰囲気は悪くない。すれ違う人にはジロジロ見られたが、ユキたちが珍しいからだと視線は無視した。
「フェンリルの説明を先にしてくるから、ちょっとここで待ってろ」
元々お節介なのか、ゲオルドは親切にも冒険者ギルドの宿ににユキたちの許可を取りに行く。その間、宿の前で双子と大人しく待っておく。
ミラとミロは、口数が少なくなった。そろそろお上りさんも睡魔に負けそうだ。
ユキとうどんに、道中狩っていた兎をあげる。後で魔石もあげよう。
「貴方達、それフェンリルなの?」
掛けられた声の方を振り向くと…煌めくオッパイが、目の前に立っていた。いや、普通に綺麗な女性なのだが…目線の行き先が一箇所に集中する。冒険者かな? なんであんなに露出が激しい衣装? アリアもそうだったし、冒険者の女性ってみんなそうなの? カエデちゃんは、冒険者になったとしても…悲しくなるのでそれ以上は言わない。睡魔に襲われていた、ミラとミロも釘付けだ。芳醇なメロンだ。
「ねぇ。どうして何も言わないの?」
「…フェンリルべす」
あ、噛んでしまった。
この女性は冒険者で、シーラと言う。彼女も従魔持ちだと言う。辺りを見渡すが、従魔はどこにもいない。
「ここよ」
指の先の谷間には、鼠? いや、モモンガみたいなのが顔を覗かせる。顔がほぼ目のアニマルだ。あったかそうな場所にいる。
「この子は、ピピンって言うの。この町で従魔持ってる人をあまり見かけないから、声をかけてみたの。よろしくね」
「ユキとうどんです。こちらこそよろしく」
シーラはそれだけ言ってピピンと冒険者ギルドの宿に入って行った。
暫くして、ゲオルドが戻ってくる。割増料金になるが、大型でも泊まれるそうだ。
「ゲオルドありがとう」
「礼を言うなら、フェルナンド様にだな。中に入って受付のマーガレットのとこに行け。話は付けてある」
権力者だと思ってたが、フェルナンドはロワー領主の弟だそうだ。オスカーは、その上の立場なのか? なんであんな洞窟で拷問されてたん? んー。今は、それより冒険者ギルドから漏れ出ている匂いが気になる。肉の匂いだ。
再度ゲオルドに礼を言って、別れる。いい奴だ。
冒険者ギルドに入ると、酒場で飲み食いしていた人たちの視線が一斉にこちらを向く。
「いらっしゃい。こっちだよ」
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