出立の準備 2

 荷物の整理をする。

 持って行ける荷物も限界がある。65Lのミリタリーバックパックと10Lのバックパック。移動するだけならともかく…戦闘になった時に重さで走れないのは困る。


(カエデ)


 テント一式は絶対だし、武器もある程度持っていたい…魔石も…


(カエデ)


 雨が降ったら最悪だ。バーナーはまだ残ってるけど…後数回だろう。雨が降ったら原始的な火の付け方は困難になる。洞窟を探せば…


(カエデ!!!!)

「何!? いきなり大声でびっくりするよ」

(我は、ずっと声を掛けていた。カエデが気づかなかっただけだえ)

「ごめんね。考え事してた」

(声に出していたから、全部聞こえてただえ。荷物の事だえ。心配ないぞえ!)


 荷物が心配ないとは?

 ベニが、未だに根を張って寝ている?ギンの側に向かう。ベニの後ろ姿は、お尻がプリプリして微笑ましんだよね。

 ベニがギンをペシッと叩く。


(起きんかえ!)

「だえ~」


 ベニは、起きて来たギンにテーブルに置いていたマグカップを渡す。


(しまい込むだえ)


 マグカップがスッと消える。

 え? え?


「え?」

(ギンは生まれたばかりの幼体だから、今は収めれる容量は少ない。だが役に立つだろう?)

「…凄すぎじゃない?」


 これがスマホと対等かと言うと…絶対私の方が得してると思うんだけど…

 ギンをナデナデする。


「ギン凄いね」

「カエデ~」

「え? カエデって言ったの? ベニ聞いた? ギンが、カエデって言ったよ!」

(当たり前だえ。育てば思念も出来るようになるし、魔法も使えるようになる。我の分身と眷属ぞえ!)


 胸を張るベニが可愛かった。ベニもヨシヨシと撫でてあげる。『我はギンのような小童ではない』と言っていたが、心なしか照れていた様に見えた。


 ギンはどれくらいの荷物を収納できるんだろう? 荷物を詰めて実践してみる。先ずはバックパックを入れてみる。


バックパック(10L)


タオル

水筒

アーミーナイフ

靴下

財布

双眼鏡

サングラス

干し肉

魔石


 ギンに収納するようお願いすると、バックパックはスッと消えていった。本当どうなってるんだろう? 

 バックパックを取り出すようお願いすると、どこからともなく荷物が現れる。ギンは青いし、実はポケットとかついてるんじゃ…

 次にミリタリーバックパックに挑戦。


ミリタリーバックパック(65L)


テント一式

椅子

バーナー

焚火台

寝袋

ブランケット

長袖

下着

レインジャケット

レインパンツ

ファイアースターター

着火剤

ランタン(魔石)

耐熱性手袋

ペグハンマー

折り畳みバケツ

食器

化粧品

布巾

干し肉

メープルシロップ瓶

石鹸や洗剤などの生活用品

ハサミやカッターなどの日常用品

調理器具

 ートング

 ースキリット

 ーカフェプレス

 ーアルミ鍋

 ーナイフ


 こちらも問題なく入る。

 これで荷物問題の解消だ。ミリタリーバックパックを抱えて戦闘する事が一番の心配だった。

 その後どれくらい入るのかと、次々に入れていく。


クロスボウ

クロスボウの矢

日常大工品

長靴

アーミーナイフ各種

釘バット

残りの魔石


 湖の白骨遺体から拾ったものも忘れない。


短剣3

装飾された剣1

証拠品?の蛇の剣1

財布?(金や黒くなった銀の硬貨入り)

筒に入った手紙(字が読めない)

地図(ボロボロ)

指輪や腕輪などの装飾品x6

ヘルメット


 そういえば、ベニに文字の知識を貰う予定だった。もしかして、この地図や手紙に床下に入っていた地図も読めるかもしれない。


(そうだった。ほれ、これを食え)


 渡されたのは、脳みそそっくりの禍々しいキノコ。絶対毒キノコじゃん、これ!


「生命の危機を感じるんだけど…」

(知識のキノコだえ)


 ビジュアル悪すぎる。知識…まんま脳みそスタイルじゃなくても良くないか? 迷ったが、一気に脳みそキノコを口に押し込む。


(どうだえ?)

「味はしないけど、舌がピリピリする。あ…頭が痛い…あ゛あ゛」


 バタンと床に倒れ、意識を失う。







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