私の力

(そう悲観するでない。魔法は使えんが、カエデは精霊魔法に近し力がある)

「精霊魔法に近い力?」

(うむ。魔石じゃ)


 確かに魔石は使えてるけど…ベニが言うには、人族は魔石を直接使う事は出来なく、魔道具にするらしい。

 ベニは自分の事を幼体だと言っていたが、数百年生きていて、人族の話を他の妖精やらから聞くとの事。妖精は噂話が大好きな種族のようで、ここで魔力の爆発があった事もすぐに広まったらしい。


(その首輪も魔道具じゃ。水を溜めて出すだけのな。容量も多いし、大きな魔物のじゃろ。カエデならそれを攻撃魔法の様にも使えるぞえ)


 攻撃魔法のようにか…風の魔石の杖のようにかな? 後で実験してみよう。

 

 なんとなく方向性も決まった。ここで冬越えをして、その後南に向かう。その前に自分の身を守れる様に、この魔石の使い方を把握する事かな。

 ベニはまだ力が完全に戻ってない為、春までこのログハウスで暮らす事になった。 

 いつの間にか、ユキたちと暖炉の前で寛いでいるベニ。

 暖炉の前をフェンリル、キノコ、ゴキブリに占領された奇怪な光景。

 ゴキちゃんズの滞在を許可した覚えはないが…

 昼ご飯にでもするか…


 カボチャのスープを作る。カボチャは収穫をして、甘みを増す為に保管していたのだ。良いミネラルやビタミンの補給になりそう。


(それは、なんぞえ?)


 ベニがカボチャを知らない様だったので、カボチャを分けてあげた。カボチャの上で根を張ると、動かなくなったので…また寝たのかな? 放置する。

 出来たカボチャのスープは、シンプルだけど身体に染み渡る。カボチャの種があって良かった。

 カボチャは、大きいのが収穫できたので、一個で数日は使えそう。

 今日は休む予定だったが、兎の罠だけ確認に行く。ベニもついてきたのだが、ゴキちゃんズの上に乗って移動するんだね。個人ハイヤーだな。


 兎は…掛かってる掛かってる。

 うん。寒くなってきたからか…今日は一羽か…冬が近づき、罠にかかる数も少なくなってきた。ついこの間までは、一日何羽も取れていたのに。


(ホーンラビットかえ?)


 あ…そんな名前付いていたんだね。因みにゴブリンはゴブリンで、ゴブリンリーダー、ゴブリンジェネラル、ゴブリンキングなどがいて、あの二足歩行の犬はコボルトだそうだ。そうそう…コボルト…名前が出てこなかったのだ。

 因みにホブゴブリンは妖精で、戦いを嫌い平和に森の何処かで暮らしているらしい。違いがよく分からないが、私を襲っていたご近所さんは敵意剥き出しだったので、普通のゴブリンだろう。


「森の生物を結構殺しちゃったけど、大丈夫なの?」

(ゴブリンかえ? あやつらは害獣だ。減る分には問題ない)


 チラリとゴキちゃんズに視線を移す。彼らは害虫ではないけど、なんとなく視線がそちらに向いた。


(何故、我の眷属をみるのじゃ!)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る