そう上手くは行かない
「ユキちゃんとうどんは、フェンリルなの?」
暖炉の前でヘソ天をしているうどん。あれがフェンリル? ユキたちは、オークの魔石を食べる度に大きくなっていったので…ただの狐とは思ってはいなかったけど…フェンリルって…狐も犬科だけど…フェンリルってもっと威厳あるイメージだったから…
ユキちゃんは威厳あるけど、出会いは食中毒起こして倒れてたからなぁ。
(フェンリルは、自分に害がある物くらいわかるぞえ。此奴らは大体、どこからきた?)
ベニによると、この森にはフェンリルは住んでいた事はなく、通常フェンリルは、北の雪山をテリトリーにしているとの事だ。そう言えばユキは最初会った時、お腹に血の跡がついていたな。
「初めて会った時、赤い実が沢山なってる所で倒れてたんだけど…どこから来たかは知らない」
(対になってる実かえ? あれは、回復薬としても効く)
怪我を治す為にあの実を食べて、倒れてたって事か? でも…ユキちゃんは、結構強いんだけど…それを傷つけた何かがいるって事?
(フェンリルの縄張り争いか、雪山に面倒なのが住みついたか。そんなところじゃろ)
「ワイバーン君とか?」
(忌々しい邪竜擬きの事かえ? あやつにフェンリルの群れを相手出来るほどの実力はない)
そういえば、ベニはワイバーン君の放った火で怪我をしたのをユキが発見したんだった。
(力も完全に戻っておらず、油断したのじゃ!)
そう言う事にしておいてやろう。不意打ちであの火を食らっても生きてるって…ベニも特殊なパワーとかあるんだろうな。会話ができる時点で特殊体ではあるが…
「ベニは魔法を使えるの?」
(使えるぞえ)
ベニが、精霊魔法と呼ばれる魔法を披露してくれる。丸い水が出てきて、コップに水が注がれる。手品みたい。凄い。
精霊魔法は通常の魔法と違い、精霊にお願いして魔法を使うそうだ。通常の魔法は体内の魔力エネルギーを使うとの事だ。
精霊と妖精は同じかと思ったけど、精霊は精霊界と言うところに住んでいて、妖精はこの世界に住んでいると言う事だ。ホームかアウェイだね。敵対はしてないけど。
「私も魔法が使えるのかな?」
(…残念ながら、カエデに魔力はない。少ない者は見た事あったが、完全にナシは初めて見たぞえ)
ガクッと床に崩れ落ちる、そうだよねー。世の中そんなに上手くいかないよね。分かってたよ。うん。分かってた。
「念の為に聞くけど、ステータスとかあるの?」
(すてーたす? 何ぞえ、それは?)
ないかー。
現状変わらず…かぁ…
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