小狐
ログハウスに戻ったのは良いが、母狐どうしよう..
意識はないが息は安定してるように思う。とりあえず…母狐の身体に怪我がないかを探す。お腹あたりの毛が斬られたのか? 毛がなく禿げている。怪我はなさそうだが、毛が血や泥で汚れている。ログハウスのテーブルにシーツを引いてその上に母狐を乗せる。小狐は心配そうに寄り添っている。
「キューイーン」
「心配しなくても大丈夫だよ。多分」
念の為に小狐の身体を触れずに確認するが、小狐に怪我は無さそうだ。母狐にはこれ以上何もできないので様子見だね。小狐が取った角兎の皮を剥いで捌く。兎肉を大きな皿に入れて、小狐の前に置いた。
躊躇せずにガツガツ食べ始める小狐。もうちょっと警戒しても良いんじゃないの? 別のボウルに水も入れて置いておく。
クンクンと自分を嗅ぐ…物凄く獣臭かったので風呂を沸かす。
「キュキューイーン」
「風呂にまでついてこなくて良いよ」
裏のドアを閉めて狐親子は部屋に閉じ込める。服を脱いでしっかりと身体を洗い髪も洗う。ザブンとドラム缶風呂に浸かったら、あーっと声が出た。
「キューイーン」
ガリガリと扉をかじる音がする。
「コラコラコラ。開けるから齧らないで!」
「キュキュキュキュ」
狐ってコンコンって鳴かないんだね。結構大きな声でキュキュキュ言ってるね。周りに誰か居るわけじゃないし良いけどね。長めの風呂から上がりログハウスに戻ると部屋が獣臭い。獣が居るんだから仕方ないんだが…窓を開けて空気を入れ替える。母狐はまだ起きてはこなさそうなので、今日集めたベリーをジャムにする。このベリーは既に味見したので毒ではないだろう。
ベリーをコトコトと煮ている間に少し遅いが昼の準備をする。毎日恒例の兎焼きだ。フレッシュな兎は今日は取れていないので、昨日取れた調理済みの兎の残りだ。
小狐も先程あげた兎の食べ残しを食べ始めた。小さい身体で結構食べるな。
兎を平らげて満足そうだ。
ベリージャムもできたので、兎の罠を確認しに行く。あのベリー生だと苦さがあったが、火を通すと随分甘かった。甘味は大切。
「君も来るの?」
小狐が当たり前のような顔をして付いてくる。良いんだけど、母狐をほっといて良いの?
本日、罠にかかった兎は二匹。一匹は兎ジャーキーにするか。
小狐もキュキュと喜んでいる。ああ…そうか…彼らの餌もあるのか。仕方ない、一匹は狐たちの餌にするか。
「ワウッ…. ワウッ…. ワウッ」
小狐が聞いたことない鳴き声で吠え始める。
ガサガサ
ちっ。犬か。
久しぶりだが、何の役にも立たない犬なんか邪魔なだけなんだよね。四匹か…少ないな…群れ全体が何匹かは知らないが、この前のゴブリン戦で大分減ったのかもしれない。サクッと殺すか。
「ギュギュギュギューン」
小狐が私の前に出ると同時に犬が二匹倒れる。
え?
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