ゴブリンとのタイマン
早寝早起きの生活は意外にも快適だ。
今日も6時に目覚める。
膜内で食べ物探しをする。自生しているハーブやラズベリーそれから
水はできるだけ飲まずフルーツで水分を取る。今一番の目的は水分の確保である。あの湖に行くには…対犬やゴブリンへの訓練が必要だ。期間は三日だ。
クロスボウの練習をして斧や鍬を振り回す。鍬の方がしっくりくる。練習の獲物には、先ずはあの兎だ。
兎は出てきて欲しい時に出てこない…鴨(仮)の骨を紐で縛り膜の外に投げ兎を待つ。
来た来た。
あの兎、やっぱり肉食か。鴨骨をバリバリと噛み砕く兎。膜から出るのは迷ったが…時間がない、水がなくなるのだ。
ゆっくりと膜から出る、兎はまだお食事中だ。後ろからクロスボウで狙う。
「ピギャアアアア」
当たった!!! けど、当たったのは尻部分だ。兎は逃げようとするが足が動かず暴れている。急いで後ろから掴む。
「いたたたたたた!!!」
掴んでいた筈なのに抵抗されグローブの下の腕を爪で引っ掛かれる。ナイフを出すが何処を刺せばいいか分からず手間取る。
「ピギャアギャアア」
ああもう! グサっと首を刺す。小さく兎からグエェと音がした。絶命したようだ。兎の血が靴に滴る。
「はぁはぁ」
兎を殺すだけで、こんなに体力を注がれるの? 膜の中に戻り傷の手当てをする。良かった、傷は大した事ない。
兎を逆さにして血抜きをして解体する。皮が思ったよりもつるんと取れてびっくりした。真顔でこの作業が出来るとは…数日前の私には考えられない。きっとゴブリンスプラッタのお陰であれより悲惨じゃないものへのメンタルの許容範囲が広がったのかもしれない。
冷蔵庫が無いので、兎肉は全部焼く。塩胡椒それからハーブ類の調味料もあったので、よく揉み込み焼く。
ジュー
脂が少ないのでじっくり焼く。
出来た。
美味しそうな匂いだが、見た目はパサパサだ。オーブン焼きとか煮込みが出来れば最高なのにな。兎肉をモグっと食べる。あっさりとしてるけど旨みがちゃんとある。これはジャーキーにしても美味しいかもしれない。半分ほど食べてお腹いっぱいになる。
遅い昼ごはんが終わり、午後からはクロスボウと鍬やナイフの扱いの練習をした。
「グギャグギャ」
来たな! 二匹か。クロスボウで一匹を狙う。心臓に命中して倒れる。もう一匹とは、タイマンだ。相手は棍棒持ちだ。こっちは鍬と脚に取り付けているナイフ。
よし!
怖くて膜の手前で手が震える。大丈夫だ。この膜から出られなければ、水にもたどり着けない。
「やああああああ」
膜を走り抜け鍬でゴブリンの喉を狙うが腕で受け止められる。腕に鍬が刺さって抜けない。クソっ。ゴブリンが私を左手で掴もうとする。ゴブリンの腹を蹴ると鍬も腕から抜けた…ゴブリンの腕ごと抜けたけどね。
腕付き鍬をもう一度振り、ゴブリンにぶつける。ゴブリンが地面に顔から倒れる。逃げようとするゴブリンを後ろからナイフで突き刺す。突き刺す。突き刺す。
ゴブリンの青い返り血が顔にベットリとかかる。流石に死んだだろう。
ゴブリンを二匹とも引きずり穴に入れて埋める。
鍬とナイフを掃除して、ゴブリンの返り血で汚れた体を拭き、残りの兎を無言で食べる。
全てが終わった頃、既に19時を回っていたのでベッドに入り声を出して泣く。泣き疲れてそのまま眠りについた。
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