鳥の解体
気を取り直して再び双眼鏡で周りを観察する。少し遠いが、湖みたいなのが見える。
ドン
上空を見ると大きな鳥が膜にぶつかって気絶しているのか? この膜はドーム状に張っているみたいだ。ここの動物は、アグレッシブだね。
鳥、もしかして死んでる? 全然動かない…膜の上で死んでるよ。あのまま腐る気なの? って思っていたら、スッと鳥が膜を通り抜け落ちてきた。
アーミーナイフを携帯し、急いで鳥に駆け寄る。先ずは棒で突く。うん、死んでるな。見かけは鴨っぽいけど、鴨より大きくて足は鷲っぽい。
これなら、今死んだばかりだから解体しても良いんじゃないかな? 鳥の解体は見た事あるけど…急いでジビエ調理本を持ってくる。えーと…鴨はないがキジの捌き方が書いてある。鳥なら似てるよね?
兎は動揺して触るのも抵抗あったが、鳥はいける! はず…後どのくらい、ここにいるのか分からないんだ。食べ物は、今はあるけど…いつまであるか分からない。
とりあえずログハウスにあった男物の服に着替えゴム手袋をつける。鳥を逆さ吊りにしての首を切り血抜きをする。終わったら、肛門部分の羽をムシる。
ブチブチブチ
思ったよりエグい。むしった部分を煮沸消毒したアーミーナイフでくり抜きゆっくり取り除く。ちょっと吐きそうだ。レバーと心臓以外の内臓はよくわからないので、穴を掘り捨てる。羽根を全部むしりバーナーで産毛を炙る。
肉はやっぱり鴨に似てる。胸肉以外は鴨ガラスープ用に煮込む。胸肉部分はスキレットで調味料をつけ焼いてアルミホイルに包んで二十分放置してまた軽く焼いて出来上がり。
食べるのに躊躇する。ちゃんと焼けてると思うが不安だ…カエデ! ここまで来たんだ食える! モグリと口に肉を入れ咀嚼する。少し鴨より癖があるが美味しい。おにぎり二つも食べた頃、ガラスープもできる。スープも悪くない。残りの肉を包み鍋をログハウスに置き掃除をする。
自分が臭い。獣の臭いがする。
お風呂入りたい…ドラム缶風呂があるけど水を節約したい。鴨(仮)を捌くのに使った道具を全て熱湯で洗う。服を脱いでお湯をつけたタオルで自分を拭く。洗濯しないといけないが、このままでは水が早い段階で底をつく。湖はあるが、変な動物が沢山居るのでその対策を立てないと…
片付けを全て終わらせたら、辺りは暗くなっていた。ランタンの電池が勿体無いのでベッドに入る。時間は19:30。この時間に寝るとかどこの婆さんかと思う。私はまだピチピチ? の27歳です。
そう遠くないところから『ウオーン』と遠吠えが聞こえる。ビクッと起きて窓の外を見るが何も見えない。
膜大丈夫だよね?
信じてるからね。膜の検証を明日やろう。
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