幸せの痕跡

音澤 煙管

散歩が、ハイキングとなった時……





何も目的もなく過ごす時間……

それだけで良かった。


今思えば、それなりの気遣いと

沢山の思いが足を運んだから。


出掛ける場所は遠くない、

だけど君には未知の世界だった。


だから無意識に、

手軽な電話のカメラを翳す。


目的がそうさせた、

今度はカメラ片手に出掛ける事に。


カメラも高級ブランド物、

拘る性格はココに出る。


写真というものの根源は、

昔ながらのフィルム写真。


負けず嫌いもココに出る、

ぼくは毎週現像の練習に明け暮れる。


時は流れて自粛の時、

目的が遮られたし共に過ごせない。


きっとこれからまた会える、

その日までと現像の練習は欠かさない。


練習の合間に報告続けた、

いつもイイね! の返事だった。


やがて、お別れの時が来る……


ぼくはもう現像をしていない、

現像をする手が捥ぎれた様だった。


だから何も手につかずに今も居る……


一人出掛けるのも怖くなった、

目的である全てが無くなった時。


今は、沢山の現像薬品と

古いカメラたちに囲まれている。


これからの愉しみを、

待ち望んでいたぼく等だった……




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