【夫婦恋愛】友泉(ゆうみ)とたっくん~かあさんはぼくだけのグラビアアイドル

佐伯達男

かあさんはぼくだけのグラビアアイドル

「たっくん…週刊誌の水着のグラビアを見て、満足していたなんて…」


アタシ・友泉(ゆうみ・53歳)がベッドルームのクローゼットの整理していた時であった。


クローゼットの中に、たっくんが読んでいた写真週刊誌が入っているのを見つけたので、読んでみた。


ビキニの水着姿の女優さんのグラビアをみたあと、アタシは大きくため息をついた。


アタシがあと20年若かったら…


たっくんの理想にかなう女の子になれたのに…


アタシとたっくん(年下のダンナ)は、結婚してから2年半後に、たっくんの転職とたっくんの実家の都合で松山へ移った。


今の住まいは、いよてつ余戸(ようご)駅から歩いて5分のところにある2階建ての借家です。


たっくんは、南堀端のJAのリジェール(結婚式場)に転職した。


アタシは、借家の付近にあるZY(スーパーフジのディスカウントストアー)の中にあるパン屋さんに転職した。


アタシとたっくんは、仕事の関係でお休みの日が異なるので、デートする時間が取れない…


たっくんは、心のどこかでさみしさを感じている。


だから、写真週刊誌の水着のグラビアで満足していたと思う。


たっくん…


たっくん、ごめんね…


「ただいま。」


夕方5時40分頃、スーツ姿のたっくんが家に帰ってきた。


たっくんは、疲れた表情を浮かべていた。


アタシは、着ている白のブラウスボタンを外して、ブラウスを脱いだ。


ブラウスの下は、ユニクロで買った白と黒のポーターのキャミソールを着ている。


アタシは、両手を広げてやさしい声でたっくんを呼んだ。


「たっくん…おいで…」


たっくんは、アタシの乳房(むね)に飛び込んだ。


アタシは、両手でギュッとたっくんを抱きしめた。


「かあさん…かあさん…」


たっくんは、アタシの乳房(むね)でワーワーと泣いた。


「たっくん…よしよし…」


アタシの乳房(むね)で泣いていたたっくんは、そのままスヤスヤと眠った。


アタシの乳房(むね)で小さな子供のようにスヤスヤと眠っているたっくんを見たアタシは、切ない気持ちにおそわれた。


たっくん…


かわいい…


8月の第2木曜日の朝であった。


アタシとたっくんは、朝ごはんを食べていた。


テーブルの上には、コッペパンとグリーンサラダとベーコンエッグとミルクが置かれている。


たっくんはサラダに入っているラディッシュを食べたあと、アタシに言うた。


「かあさん。」

「なあに?」

「あのね…7月にエミフル(フジグラン)がリニューアルオープンしたので…ぼくのお休みが取れたら…エミフルでデートしたいと思っているんだ…どうかな?」


たっくんの問いかけに対して、アタシは『そうねぇ…』と言うてから、たっくんに返事した。


「ごめんねたっくん…たっくんがお休みの日は、パートに行く日なの…」


たっくんは、さみしそうな表情で『残念だな。』と言うた。


その後、たっくんはスーツのジャケットと黒の手提げかばんを持って家を出た。


さみしそうな表情で家を出たたっくんの後ろ姿を見たアタシは、もうしわけない気持ちでいっぱいになった。


アタシ…


また、たっくんを傷つけてしまった…


ごめんね…


たっくん、ごめんね…


この日、アタシはパートがお休みなので、少し遠出をして双海の海浜公園へ行った。


(ピーッ、ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…)


アタシは、いよてつ電車とJR予讃線の海回りルートの列車を乗り継いで伊予上灘駅まで行った。


列車を降りたあと、駅から歩いて海浜公園へ向かった。


朝から雲ひとつもない青空で、木々にはミンミンゼミとアブラゼミとツクツクボウシの鳴き声が交錯して聞こえている。


アタシは、白の大きめのぼうしを頭にかぶって、上はベージュのキャミソールを着てキャミソールの上から白の網目のサマーニットをはおって、下はクリーム色のマキシ丈スカートを着て、サンダルをはいて、白のトートバッグを持って、白の日傘をさして浜辺にやってきた。


海浜公園のビーチは、お盆休みを利用して海水浴に来ている家族連れやカップルさんや女のコ同士のグループたちでにぎわっている。


色とりどりのビキニの水着を着て、浜辺で元気にはしゃいでいる女のコたちを見たアタシは、大きくため息ついた。


そんな時であった。


アタシは、高校の時の仲良しの佳子と出会った。


佳子は、松山市内でモデル事務所とアロマエステを経営している。


この日は、佳子の事務所に在籍しているモデルさんのビキニの水着のグラビア撮影が行われていた。


「やだ、友泉(ゆうみ)じゃない。」

「佳子、久しぶりね。」


アタシと佳子が会った時、撮影現場は昼休みであった。


アタシと佳子は、木陰にこしかけて海を見ながらお話しをした。


「今日のグラビア撮影は、再来週に発売される全国週刊誌のオーバー40のビキニのグラビアの撮影よ…モデルさんは56歳でお孫さんが4人いるおばあちゃんよ…プロポーションは30代の美体型よ…すごいでしょ…」


佳子の言葉に対して、アタシはため息つきながら言うた。


「いいわね…アタシも、ビキニ美人になりたいわ。」

「友泉、どうしたのよ?」

「たっくんね…この最近写真週刊誌のビキニのグラビアばかりを見ているの…友泉…さびしい。」


アタシの言葉に対して、佳子はこう答えた。


「そうね…友泉はたっくんが望んでいるビキニ美人になりたいのね…それなら、今日からでも始めたら?」

「えっ?今から…」

「家の中で水着姿になるのよ。」

「家の中で水着になる…」


佳子からアドバイスを受けたアタシは、早速帰ったら実践して見ようと思った。


家に帰ったアタシは、アタシが使っているクローゼットを開けて水着を探した。


あったわ…


水着は、ビキニではなくネイビーのボディシェイパータイプのアリーナ(デサント)水着であった。


どうしよう…


ボディシェイパータイプの水着しかなかったとたっくんに言えないわよ…


それでもアタシは、水着に着替えてたっくんの帰りを待つことにした。


「ただいま。」


夕方5時50分頃に、たっくんが家に帰ってきた。


「たっくんお帰り。」


アタシは、白のブラウスとクリーム色のマキシ丈のスカート姿でたっくんを出迎えた。


「かあさん。」

「たっくん…目を閉じて…」


たっくんが目を閉じたあと、アタシは白のブラウスとマキシ丈のスカートを脱いだ。


「目を開けて。」


ゆっくりと目を開けたたっくんは、水着姿のアタシを見つめた。


「たっくん…水着姿のかあさんを…みて…」


アタシは、グラビアポーズでたっくんをユウワクした。


たっくんは『かあさんの水着姿…素敵だよ。かわいいね。』と言うて、アタシをお姫さま抱っこで抱き抱えて、寝室へGOで、そのあとは…


…と期待していたけど…


「やっぱり…ビキニがいい…」


そんな…


やっぱり、ビキニの水着がいいの…


結局、空振りに終わったので、アタシはひどく落ち込んだ。


あ~あ…


たっくんにきらわれた…


どうすればいいのよぉ…


そして、8月の第3火曜日のことであった。


佳子が経営しているモデル事務所に在籍しているモデルさんのビキニのグラビアが掲載されている全国週刊誌が発売された。


たっくんが働いているリジェールの女性スタッフさんの間で、美魔女さんの水着グラビアの話題が盛り上がった。


グラビアを見た女性スタッフさんたちは『素敵ね。』『56歳で4人のお孫さんがいるおばあちゃんだけど、プロポーションは若々しくて素敵ね。』『うちのお母さんと同い年だけど、ゼンゼン違うわね。』などと言うていた。


たっくんにも週刊誌が回ってきた。


しかし、たっくんはグラビアを見ずにそのまま週刊誌を別の人に渡した。


その後、大きくため息をついた。


その頃、アタシはZYの中にありますパン屋さんでサンドイッチを作る仕事をしていたけど、仕事に集中できなかった。


たっくんは、この最近『明日早いから、もう寝る。』と言うてすぐに寝ることが多くなった。


アタシは、たっくんの寝顔を見つめながら『たっくんごめんね…』とつぶやきながらわびていた。


ふたりの休みが合わない…


たっくんの理想の女の子になれない…


どうすればいいのよ…


アタシの気持ちは、少しいじけていた。


8月の第4日曜日のことであった。


アタシとたっくんは、ふたりともお休みができたので、久しぶりにデートに行った。


場所は、伊予市の五色姫海浜公園のビーチにて…


アタシは、頭には大きめのぼうしをかぶって、上はマゼンタのタンクトップを着て、タンクトップの上から白のブラウスをはおって、下はボブソンのデニムパンツをはいて、流行りのサンダルをはいて、白のトートバッグを持っている。


ふたりは、手をつないでビーチを歩いた。


この時、佳子のモデル事務所に在籍しているモデルさんでアロマエステ店の店員さんの23歳の女性のビキニの撮影が行われていた。


それを見たたっくんが撮影現場に行こうとした。


アタシは『たっくん!!ダメ!!』と怒鳴りつけたあと、たっくんの右手を強引に引っぱって、ビーチバレーのコート付近へ行った。


ビーチバレーのコートの付近の広場にて…


アタシとたっくんは、つまらないことでけんかをした。


「たっくん!!どうしてかあさん以外の水着姿をみようとしたのよ!?かあさんだけにしてと言うたでしょ!!」


たっくんは、ますますすねた表情になったので、きつい言葉をぶつけた。


「たっくん!!かあさんの目を見てよ!!」


たっくんは、すねた表情でアタシに言うた。


「何だよ!!何だよ!!ぼくがデートに誘うたびに、かあさんはいつも『ごめんね。』とか『行けない。』とか言うて断ってばかりいるじゃないか!!ぼくは…かあさんが好きなのに…あんまりだよ!!」


アタシを怒鳴りつけたたっくんは、アタシの前から走り去った。


たっくんに置き去りにされたアタシは、くすんくすんと泣きじゃくった。


アタシ…


たっくんにきらわれちゃった…


どうしよう…


そこへ、佳子がアタシの元へやって来た。


くすんくすんと泣いているアタシは、佳子にわけをすべて話した。


佳子は、泣いているアタシに言うた。


「友泉、友泉の気持ちはよくわかるけど…友泉が言った言葉でたっくんはものすごく傷ついたのよ…どうしてたっくんにひどいことを言うたのよ?」

「分からない…」


アタシの言葉に対して、佳子はこわい表情で言うた。


「友泉!!今すぐにたっくんを探しに行きなさい!!」


佳子から言われたアタシは、大急ぎでたっくんを探しに出た。


五色姫海浜公園を出たあと、アタシは一度余戸の家へ帰宅した。


この時、たっくんはまだ帰宅していなかった。


アタシは、たっくんを探しに再び外に出た。


しかし、たっくんを見つけることができなかった。


夕方5時頃であった。


アタシは、ひとりぼっちでエミフルマサキへ来た。


リニューアルオープンをしたばかりのエミフルマサキのショッピングモールをひとりぼっちで歩いているアタシは、何を思ったのか?


やがて、ショッピングモール内にあるランジェリーショップに来た。


ランジェリーショップには、夏コレから秋冬コレの新作のランジェリーがならんでいた。


流行りの婦人水着が並べられていたコーナーは、8月末になくなった。


たっくん…


ごめんね…


たっくん…


ごめんね…


そんな時であった。


「かあさん…かあさん…」


アタシのそばでアタシを呼ぶ声が聞こえたので振り返った。


たっくんがさみしい表情を浮かべながらアタシの前にたっていた。


アタシは、さみしい表情を浮かべているたっくんにあやまった。


「たっくん…たっくんごめんね…たっくんが望んでいたビキニ美人になることができなかった…たっくん…かあさんのこと…きらいになったの?ねえ…たっくん…」


もうだめ…


アタシは…


たっくんにきらわれた…


たっくんは、やさしい声でアタシに言うた。


「ビキニは…また来年の夏に着ればいいよ…ぼくが望んでいるビキニ美人になれなくても…ぼくは…かあさんのことが大好きだよ。」

「たっくん…」


たっくんは、アタシに今の想いを打ち明けた。


「かあさん…ぼくは…かあさんのことが大好きだからビキニを着てほしかった…今年の夏がダメでも、また来年の夏に着ればいいし、来年がダメでも再来年の夏に着ればいいのだよ…ビキニが着れなくても…ぼくは…かあさんのことが大好きだよ…」


たっくんの想いを聞いてうれしくなったアタシは、涙をポロポロとこぼして泣いた。


たっくんは、両手を広げてアタシをギュッと抱きしめた。


たっくん…


そんなにギュッと抱きしめられたら…


アタシ…


バーストしちゃう…


その日の夜であった。


アタシとたっくんは家のベッドルームにいた。


短パン一枚の姿のたっくんは、白のブラウス一枚の姿のアタシを抱いてキスをした。


「友泉…」


(ドクンドクンドクンドクン…)


アタシの乳房(むね)の奥の鼓動が激しく高鳴った。


たっくんは、アタシのお口の中で舌をからませながら右手でアタシが着ている白のブラウスのボタンをゆっくりと外して、ブラウスを脱がした。


アタシの表情がトロトロとした時、たっくんはアタシを寝かせた。


そして、着ていたショーツを脱がして全裸にした。


たっくんは、アタシを力任せに押さえつけてアタシを抱いた。


たっくんは『友泉…友泉…』とアタシの名前を何度も何度も繰り返して呼びながらアタシを抱いた。


終始受け身になっているアタシは、激しい声をあげてよがり狂った。

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