第12話
勇者の合図通りに。
片手剣の勇者と両手斧の戦士がそれぞれ武器を振りかぶりながら、オレに突っ込んできた。
「「ウォー!!」」
フン、かわすまでもない。
「遅い!」
ドゴッ!!
オレは、奴らの武器が振り下ろされるよりも早く、突っ込んでくる2人に逆にショルダータックルをお見舞いしてやった。
「「うあぁぁ」」
オレのショルダータックルをくらい容易く2人は地面に吹き飛ばされた。
シーフの男は弓でオレを狙っていたが。
オレは、ヤツとオレの対角線上に突っ込んで来る2人が入るように自分の立つ位置をさりげなく移動していたので矢を射ることはできなかった。
「くそぅ!まだまだ!」
鎧を来た両手斧の戦士よりも、軽装の装備である勇者のほうはすぐに態勢を立て直し、再びオレに突っ込んでくる。
しかし、オレはそれを今度はパンチで迎え撃つ。
バシーン!
「ぐあぁぁ」
オレのパンチを喰らい、またも勇者は後方へと、ふっ飛んで行った。
「カイトだいじょうぶ!?」
そんな勇者に魔法使いの女が急いで駆け寄った。
「待ってて、すぐに治療する!」
そう言うと魔法使いの女は回復魔法を唱え出す。
「うぅ、すまないメリル。ありがとう。お前が居てくれてよかった」
勇者はその整ったルックスで魔法使いの女に微笑みかける。
……チッ。
コイツらと相対した時から、ある疑惑があった。
長年の魔王軍のモンスターとして数多くの勇者パーティと相対した経験を持つオレだからわかる、うっすらと醸し出されていた独特のミーハーな雰囲気。
今の勇者と魔法使いのやり取りや、パーティとしての戦いの熟練度の低さから、その疑惑はほとんど確信に近いものへと変わった。
――冒険者(勇者)パーティには二種類のパーティが存在する。
ひとつは、本当に心から世界の平和を願い魔王討伐を目指す、冒険者として本来あるべき姿のパーティ。
そしてもうひとつは『お前たち本当に世界救うつもりあるのか…?』と聞きたくなるような、冒険者としてのありかたに疑問を持ちたくなるようなミーハーな雰囲気のパーティである。
魔王軍、オレ。ダンジョンの中ボスに配属されたけどツラすぎて辞めたい @OctoBer1993
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