二枚目
「司令部に送れ!当機はただいまより交戦に入る!」「はい了解!」
まずい、このままでは追いつかれる。すばやく操縦桿を左に倒し、フットバーを右に蹴った。機体はすぐさま左旋回を開始する。だが、一刻の猶予もない。アドレナリン全開の頭は次の行動を考え続ける。そのまま操縦桿を奥に倒す。速度が上がり、風防の隙間から入る風が音を立てる。だが敵機は間違いなく後ろに食いついてきている。
「!!!」
殺気が全身を逆撫でする。隼人は咄嗟に操縦桿を手前に引いた。とてつもないGが襲いかかると同時に、背後の空間を機銃が切り裂く音が聞こえた。スロットルを解放して高度を稼ぎながら、伝声管に叫ぶ。
「敵機の攻撃を確認!射撃を許可!」
「了解!」
戦闘許可を出したとはいえ、所詮この機体は偵察機だ。戦闘機動をするために作られた機体じゃない。単機で戦闘機と交戦なんてもってのほかだ。優速を生かして逃げ切るしかないだろう。そのまま上昇を続ける。
原稿用紙 羊羹ソイソース @Musuka007
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