❽【そのほか】世界の付随設定
◆術式蒸気機関〈ヴェイパー・インゲニウム〉
大気放出する熱を極限まで減らして熱効率を大幅に改善(約三〇%増、従来比の三倍)した術式蓄熱ボイラ、不純物を取り除き水を選ばない分子濾過装置など、自動術式による効率向上と小型化を果たした蒸気機関の総称。主に排水ポンプ、耕運機、紡績機、外輪船、機関車、自動荷車など多岐に渡る。
因みに加熱系自動術式は魔法制限法により一般使用に制限があるため、主なエネルギー資源は石炭など化石燃料に依存するままである。電気も研究されているが実用に足る段階ではない。
▪️自動荷車/乗合自動車
術式蒸気機関で走行する運搬車の総称。起源は鉄道より古く、戦地へ魔法兵器の運搬用途に発明されたもの。主に商用に使われるが個人所有は資産家または貴族のみ。
大気汚染の深刻化や乗合馬車組合の圧力もあり、他分野の進歩に比べると一般への普及が遅れている。年々数を減らしつつあるが馬や馬車も依然として現役である。
▪️リンデルの大気汚染
蒸気機関の過剰普及による大気汚染が深刻化しており、石炭の煙や煤が霧に混ざって地表に滞留するスモッグが発生。二年前から外出時には顔全体を覆う防塵マスクが推奨されている。作中現在でも呼吸器疾患を患う労働者が多く存在する。大気組成の改変は禁止事項のため魔法で解決できない。
◆詠唱変換装置〈アルス・コンヴァジウム〉
魔法言語を術式詠唱と同じ空気振動に変換する装置。文字入力・振動出力・記録の三つの回路からなる。一般向けは小型化するために入力回路と記憶回路が最小限まで省かれており、一装置につき一術式しか操作できない。手持ち鞄ほどの大きさで「蒸気機関に取り付けるもの」と認識されている。
◆術式階差機関〈ディファレンス・インゲニウム〉
主にホムンクルスによって解読された術式を検証するために使用する計算機。銀に不純物を混ぜた術式半導体を回路に多く用いているため、従来のものより複雑な計算が行える。基本設計はホムンクルスだが、詠唱変換装置と同じく製造は時計工業会の手によるもの。
蒸気機関車と同じくらい大きく、入力鍵盤の他に縦七二〇*横一二八〇本の針の集積からなる計算表示装置が付属する。原理的にはもはや階差機関とは呼べないが、便宜上一般向けに呼称を継続している。
*現実世界のコンピュータのようなものです。
◆魔法戦艦計画
密かにローガリアが進めている慣性術式と複数の回転翼で飛行する航空戦艦建造計画。接触術式伝導が最も高効率な魔法戦闘の前では巨大航空兵器は役に立たないとエングラシア側には疑問視されている。
作中世界では魔法が火薬類に取って代わったため、銃火器または爆薬の類いは三百年前より殆ど発展しておらず、また簡易な防御術式にすら防がれてしまうためである。
◆術式十字弓
運動術式による仮想弦の発明により小型高性能化が進んだクロスボウ。前述の魔法戦艦と同じく火薬が殆ど発展していないため、銃火器より弓類が発展している。
◆術式刀
切断術式を用いた仮想刃による鞘が要らない刃物。ナイフ、刀等。
◆術式超圧爆殻
強化魔法による殻を用いて超圧空気を閉じ込め、術式解除によって空気爆発を起こす一種の爆弾。主に炭鉱調査や土木作業で用いられるが、危険性が高く扱いには資格と届出が必要。
◆王立魔法院
シリシスを研究・解明し魔法制限法を策定する魔法学機関。実態はホムンクルス専用の介助組織で、職員の大半は貴族またはその縁者であり、ホムンクルス自身は外部組織の時計工業会に信を置いている。
◆術式審議会
ホムンクルス解釈によって生み出された新しい術式について検証、運用規定を審議する組織。本会を通過した新術式が議会に承認されると一般に公開される。審議会および議会を通過していない術式は違法となる。
つまり作中世界では非合法術式も存在している。
◆時計工業会〈ホロロジアリウム・ユニオ〉
産業革命の一翼を担った精密機械技術(詠唱変換装置や術式階差機関も含む)の特許を多数保有・管理する民間公助組織の一つで魔法院の外部魔法研究団体。術式審議会にも籍を置く。
労働党のパトロンでシリシス教会とも深い繋がりを持ち、貴族と肩を並べるほど強い影響力を持っている。魔ノ王に匹敵する頭脳を持ち、ホムンクルスに次ぐ最も魔法に近い技術者集団。
時計工業会に所属するヒト属は「ホロロジアスト」と呼ばれる。
▪️ブレイドスミス
魔法兵器専門の調律資格を持つ職人の俗称。工房で組み上げられたゴアブレイドおよび武装を鬼属に合わせて最適化する。また欠損した騎士の肉体を補う義肢もこのブレイドスミスの手による。
軍の指揮下になく仕事は個々人の裁量によるため、時には非合法な依頼も請け負う。特にこのホロロジアスト達は変わり者が多く、「国や家族より知的好奇心を優先する変人」、「現代の魔法使い」と一般から畏怖されている。
◆東アーシア調査貿易会社
主にアーシア大陸南東部およびタナトシア周辺の未開地域を調査および貿易条約を結ぶために設立されたエングラシア貿易勅許会社。
◆デウス・シリシス教
神属を世界の創造主と崇拝するエングラシアの国教。渦ノ柱出現に伴い、既存の神の名をデウス・シリシスに改めて事無きを得るが、魔法学の一般層への浸透に従って影響力は低下し続けている。
大きく分けて二つの派閥が存在し、「未来は因果律に支配されるが、因を選ぶのは個の意志である」とする因果派と「未来は全て記述されており、個の役割は定められている」とする運命派で別れる。エングラシアのヒト属を縛るものの一つ。
但し、貴族や資産家達は労働者に向けて都合の良く使い分けたりもする。
◆魔法制限法
王立魔法院が策定する魔法運用に関わる全般について定められた法律。主に対人対物等の社会的損失の発生が予想される魔法の段階的制限および資格制度を定めている。
*天上の眷族達が禁じている魔法は大気改変のみです。
◆度量衡の単位「メートル法」
北極点から赤道までの子午線弧長の「一千万分の一」から定義された長さから決定されたエングラシア基本単位。他に「グラム」「リットル」などの重さや容積の単位がある。
*現実世界のメートル法などと全く同じなのは偶然です。
◆エングラシアの通貨単位「リブラ法」
100デナリ=1リブラ(現在の日本円で1リブラ約150円ほど)
◆エングラシアの食事事情
産業革命以降、食料事情は改善しているが、依然として保存食が中心であり、ローガリアのヒト属から「犬の飯よりは上等」などと揶揄されている。
◆エングラシアの通信事情
国営の郵便事業が主だった通信制度。作中現在では鉄道、蒸気荷車などを利用した人手による。国家の安全保障に関わる重大機密の輸送には魔法兵器が早馬として使われることもある。
鉄道の線路を利用した術式報も存在するが、盗聴の恐れがあるため使用は限定的である。
血吸う蒸気に舞う鬼ノ劔【異世界ロボット設定】 永久凍土 @aqtd882225
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